ソーラーパネル充電とリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを活用した快適なキャンピングカーライフのご提案!400Ahの大容量蓄電と400Wのフレキシブルソーラーパネルに積み替えてみた!!
オフグリッドソーラーシステムの構築で安全・快適に!
キャンピングカーに今熱い視線が集まっています。市場規模は右肩上がりで2022年には過去最高を更新しました。その金額何と762億円!台数は145,000台!コロナの終焉と共にキャンプブームにも一定の陰りが見られますが、逆にキャンピングカーライフは私たちの中に浸透してきている様子です。
車両のタイプも様々で大きく分けて8タイプあります。フルコンと呼ばれる大型(日本の道路では走りにくい程)で上級者向けのものから、乗用車をベースにした手軽なものまで多種多様です。中でも内装や設備は車によって大きく違ってきます。その中でもあると便利な装備として、サブバッテリーシステムやFFヒーターが挙げられます。
キャンピングカーで快適に過ごそうと思うと電源の確保は必須です。安全面や環境面の問題からエンジンを掛けっ放しにする事はなかなか難しく、搭載しているのがメインバッテリーのみだとすぐにバッテリーが上がってしまいます。
サブバッテリーは、キャンピングカーの生活電源です。今回実際にキャンピングカーを使用したところ、電力が一晩持ちませんでした。そこでサブバッテリーシステムが大容量だったらどんなに快適だろう…という事で、オフグリッドソーラーシステムカーの構想から半年、ソーラーパネルやサブバッテリーの交換等、オフグリッド化の為の作業を行いましたので、まとめてみたいと思います。
●ソーラー充電サブバッテリーシステム構築の発案
「ソーラー充電サブバッテリーシステムの構築」ハイエース キャンピングカーで実際に試してみよう!」というタイトルで弊社のホームページにサブバッテリーシステムを構築するに至った記事を掲載しています。エンジンを掛けっぱなしにする事は、マナーと安全の両面からおススメ出来ない事も併せて掲載しております。
よろしければ、こちらの記事も併せてご覧ください。
だからこそ大容量のサブバッテリー!という話に繋がるのですが、まずはキャンピングカーの電源について見ていきたいと思います。
●キャンピングカーの電源
キャンピングカーで電源を確保するには4つの方法があります。一つは言わずと知れたメインバッテリー。エンジンを動かしてくれているアレです。その他に、外部電源、ポータブル電源そしてサブバッテリーと合計4種類の方法があります。
◇メインバッテリー
メインバッテリーはエンジンを掛ける為にあります。エンジンを回転させる事で充電される仕組みで、自然放電してしまうので、バッテリーが充電不足の状態になるととエンジンが掛かりません。
通常は、エンジンのプッシュボタンを押すと、エンジンを始動させる為のモーターへバッテリーから自動的に電気が供給されます。この時にエンジンに取り付けられた発電機(オルタネーター)がエンジンの回転を電気に変換し、バッテリーに充電してくれます。
◇外部電源
キャンピングカーと自宅(または施設)等のコンセントを専用コードで接続して、電源を確保する方法です。使用料が必要ですが、自宅の他にもRVパーク(車中泊施設)やキャンプ場でも電源を確保する事が出来ますし、何と言ってもAC(交流)ですので、変換の必要が無くそのまま使用する事が出来ます。
外部電源が繋がっていると、施設の電気を直接使用する事が出来るので、電力の大きい電子レンジやドライヤー等を使用する事が出来ます。充電切れを心配する事無く、電力の大きな機器を使用する事が出来るのが、外部電源の最大のメリットです。また同時にサブバッテリーにも充電されます。
◇ポータブルバッテリー
ポータブルバッテリー(ポータブル電源)は、リチウムイオン電池が搭載されていますので、鉛バッテリーに比べるとハイパワーなのが特徴です。あらかじめ充電しておく必要がありますが、持ち運べるというのは最大のメリットです。インバーターが内蔵されている事から災害時に利用する事も可能です。
充電方法は、外部電源を利用する他にも、走行充電やソーラーパネルから充電する事も可能です。
デメリットとしては、キャンピングカー内で場所を取る、使用中の音が大きい等が挙げられます。
◇サブバッテリー
先にも起筆しましたが、キャンピングカーではサブバッテリー=生活電源になります。サブバッテリーには2種類有り、一つは鉛ディープサイクルバッテリー、もう一つは最近主流のリチウムイオンバッテリーです。
サブバッテリーはメインバッテリーと違い、小電力の状態を長時間に亘って供給し続けられるように作られています。エンジンが停止している時にも電化製品を使う為にはサブバッテリーは欠かせません。
そしてサブバッテリーを使用する時には直流電流(DC)を交流電流(AC)に変換するインバーターが必要です。インバーターで変換しなければ、家庭用電気機器は使用する事が出来ません。
●サブバッテリーの役割
キャンピングカーは、普通の自動車と違い車内に居住スペースとそれに伴う設備が確保されています。冷蔵や電子レンジ等を搭載したキャンピングカーも最近では珍しくありません。これらの家電製品を使用する為にはサブバッテリーが欠かせません。先にも述べましたが、停車中にエンジンを掛けっぱなしにする事は安全と環境の両面から難しいのが現実です。そんな時にサブバッテリーは、冷暖房や家電に必要な電気を供給してくれます。
サブバッテリーを使って使用する設備や家電等(例) ・テレビ、室内灯、換気扇(マックスファン等)スマホの充電 ・冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、水道(給水タンクから水を汲み上げる) ・エアコン等の冷暖房機器、FFヒーター ※インバーター経由で使用する家電は全てサブバッテリーのお世話になります。 |
●サブバッテリーの種類
サブバッテリーには、鉛バッテリーとリン酸鉄リチウムイオンバッテリーがあります。従来は、鉛バッテリーが使用されてきましたが、最近の主流はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーです。
リチウムイオンバッテリーと聞くと、何となく聞き覚えがあると感じるのではないでしょうか。携帯電話または電気自動車やハイブリッドカーに搭載されているのもリチウムイオンバッテリーです。
ただ、携帯電話や車に搭載されているリチウムイオンバッテリーとは種類が違います。サブバッテリーに使用されているリチウムイオンバッテリーは「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」と言い、LFPバッテリーと表現される事もあります。
◇鉛バッテリーとリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの違い
長 所 | 短 所 | |
鉛バッテリー | ・安価 ・リサイクルが可能 ・複数個を並列設置する事で蓄電量を増強する事が出来る。 | ・サイズが大きく重たい ・単体での蓄電量はあまり多くない ・充電速度が遅い |
リン酸鉄リチウムイオンバッテリー (LFPバッテリー) | ・小さくて軽い、鉛バッテリーに比べて重さは1/3。 ・大電流の長時間使用もOK。長時間使用しても電圧が殆ど降下しない。鉛バッテリーに比べるとエネルギー密度が約3倍で、寿命は鉛バッテリーの5~6倍です。また自己放電率が低い。長寿命。 ・水銀、硫酸等の有害物質を含まない ・リチウムイオンバッテリーに比べて発火や爆発が起こりにくい。 | ・高価 ・リサイクル出来ない ・外気温が低い(0℃以下)では充電が出来ない。(放電は-20℃~OK) |
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、安全性、寿命、エネルギー密度等の点において、他のリチウムイオンバッテリーよりも優秀です。逆にリン酸鉄系以外のリチウムイオン電池は、経済産業省より発火・爆発の危険性があると指摘されていますし、消費者庁でも注意喚起しています。
国民生活センター「リチウムイオン電池及び充電器の使用に関する注意」より
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210318_1.html
また、鉛バッテリーが月に20%の自己放電をするのに対し、リン酸鉄リチウムイオン電池の自己放電率は月に1%ととても優秀です。低温環境(-20℃)でも使用出来る(放電出来る)事から幅広い分野で活躍をしています。
安全性の高さ=熱安定性が高く発火や爆発の恐れが無い、鉛バッテリーに比べて使用電力量が大幅に増える、安定性、長寿命、軽い等多角的に見て、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、現時点ではキャンピングカーのサブバッテリーとして最適だと思われます。
●サブバッテリーの充電方法
◇走行充電
エンジンが作動している時にはオルタネーターが発電しますので、これを利用して充電します。
◇ソーラー充電
ソーラー充電の設備がキャンピングカーに設置されていて、ソーラーパネルで発電した電気を充電します。ソーラーパネルを通じて発電した電気はチャージコントローラーを通じて、一旦バッテリーに蓄えられます。使用時はインバーターで変換してから使用する事になります。
◇外部電源
家庭用コンセントやRVパーク、キャンプ場などで充電します。
●サブバッテリー使用上の注意
サブバッテリーは使用後すぐに充電するのがベストです。0%(過放電)になったままにしておくと、寿命が短くなる可能性がある為です。逆に過充電もバッテリーにはよくありません。バッテリー性能の低下だけでなく、発熱発火等の事故に繋がる恐れもあります。残量に気を付けて安全に使用する事が大切です。
サブバッテリーのDC12Vを家庭用のAC100Vに変換する為にはインバーターが必要ですが、AC電源から流れている電流は「正弦波」が殆どですので、波形が正弦波タイプのインバーターを使用する必要があります。
またキャンピングカーをどう使用するか(自分自身の使用スタイル)によって、サブバッテリーに要求されるスペックが変わってきますので、自分の使用スタイルとサブバッテリーのスペックが合っているか、容量を把握しておきましょう。
●新たなオフグリッドシステムが豊かなキャンプライフを実現させる
今回オフグリッドシステムのパワーアップ(再構築)の為には、蓄電量も充電量もUPさせる必要があります。その為に、ソーラーパネルとサブバッテリーの取替を行いました。
◇ソーラーパネルの交換
車の屋根の上に設置したソーラーパネルで発電した電気は、コントローラーを介してサブバッテリーに蓄電されます。
今まで設置されていたソーラーパネルは80Wのものが2枚(=160W)でしたが、今回フレキシブルソーラーパネル2枚に交換した事で400W(200W×2枚)まで発電力をアップさせる事が出来ました。
何でも賄える(対応できる)!と安心出来る発電量ではありませんが、家電製品を使用する時間も旅先での安心感もグンとアップします。オフグリッド化再構築の為には、ハイパワーなソーラーシステムは欠かせません。
そして発電量は当然ながら、もう一つのメリットとしてフレキシブルソーラーパネルに交換した事で、かなりの軽量化になりました。
◇サブバッテリーの交換
サブバッテリーには当初、鉛バッテリーが設置されていました。鉛バッテリーは105Ahのものが2個設置されていましたので、合計210Ahになります。今回200Ahのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを2個設置しましたので、容量が400Ahになった事になります。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリー 1個当たり200Ah これを2台設置 ↓ 200Ah×2個=400Ah |
A(アンペア)は電流(電気の流れる量)を表していて、アンペアが高い程多くの電気が流れる事を表しています。イメージ的には、太いホースと細いホース(ホース=電流:A)とでは、水の勢い(電圧:V)も溜まる水の量(充電量)も違う、そんな感じです。
Ahは電流と時間の積算値になりますので、バッテリーの容量という事になります。
Ah=A(アンペア)×h(時間) |
1A(アンペア)の電流が1時間流れると1Ah
サブバッテリーの容量が400Ahという事は、
400Aの放電を1時間行えるという事になります。 |
※直流12Vから交流100Vに変換する際にロスが発生しますので、8割くらいで考えるのがベターです。
400Ahあると、家庭用のエアコンを一晩動かすくらいのパワーは十分にあります。但し、暖をエアコンで取ろうと思うと、更にパワーが必要で400Ahでも不足しますので、暖を取る場合はエアコンでは無くFFヒーターを使用される事をおススメ致します。
私たちが普段使用している電化製品(一般家庭の電圧)の電圧は100Vなので、
400A×100V=40000W(40kW) |
一定時間内に消費出来る消費電力(消費する電気エネルギー)は、40000W(40kW)という事になりますので、サブバッテリーが大容量(ほぼ倍)になった事で、かなり快適な使い勝手になった事が数字から伺えます。
【主な電気製品の消費電力】
ポータブルテレビ | 2W~20W |
ノートパソコン | 50W~120W |
携帯電話(充電時) | 15W |
電子レンジ | 1300W |
炊飯器 | 350W~1200W |
冷蔵庫 | 150W~500W |
ドライヤー | 600W~1200W |
◇オフグリッドソーラーシステム パーツ交換のまとめ
ここでもう一度、「ソーラー充電サブバッテリーシステム構築の発案」登場です。
①フレキシブルソーラーパネル (200W×2)
発電効率の良いソーラーパネルを設置する事で、車内で過ごす時間が快適になります。キャンピングカーの電源は有限です。今までちょっと物足りないなと感じていたところを、ソーラー発電が補ってくれますので、オフグリッド化には欠かせません。
太陽光で発電した電力は、チャージコントローラーを介して、サブバッテリーに充電されます。
②チャージコントローラー (50A)
今回設置したのは、走行充電とソーラー充電の両方に対応出来るタイプなので効率良くサブバッテリーを満充電にする事が出来ます。走行充電でメインバッテリーを優先的に充電する場合は、ソーラー発電はサブバッテリーを優先します。
逆にサブバッテリーが満充電の場合は、メインバッテリーを充電してくれます。この方式によりオフグリッド状態でも長く電力を使用する事が出来、電力不足のリスクが大幅に軽減されます。充電の状態は専用モニターで把握する事が出来ます。
最大充電電流は50Aで、最大660Wのソーラーパネルに接続が可能です。不安定な直流の太陽エネルギーを均してくれているのがこのチャージコントローラーです。オフグリッドシステムの陰の立役者と言えるのではないでしょうか。
バッテリーへ適正な充電制御を行う事で、バッテリーを保護し、過充電の防止、ソーラーパネルへの逆流を防止してくれます。リン酸鉄リチウムイオンバッテリーと相性がいいのも嬉しいですね。
③メインバッテリー
メインバッテリーは始動用ですが、走行中エンジン(オルタネーター)の発電により、メインバッテリーとサブバッテリーに充電します。メインバッテリーの電圧が下がっている時はサブバッテリーには充電されず、メインバッテリーへの充電が優先されます。
④サブバッテリー
ここまで何度もお伝えしてきたリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを今回搭載しました。バッテリーモニターを通じて、電圧・電流・バッテリー容量等、充電状態を把握する事が可能です。
⑤外部電源
外部(家や施設)の100V電力に接続するので、殆どの家電はそのまま使用する事が出来ます。また接続中はサブバッテリーにも充電されます。
⑥100Vインバーター (2000W)
ソーラーパネルで発電した直流電力(DC)12Vを、交流(AC)100Vへ変換する事によって家電製品が使用可能になります。連続して最大2000Wまで供給する事が可能なタイプのインバーターです。
この2000Wがインバーターの出力サイズになりますが、どうして2000Wを選んだのか、というと「キャンピングカー内で使用する家電の起動電力を足した数字=インバーターの大きさ」という事になります。
【主な電気製品の消費電力】は、「◇サブバッテリーの交換」でも登場しましたが、テレビやノートパソコン、炊飯器等の起動電力は使用電力と同じですが、電子レンジでは起動電力が消費電力の約1.2倍、エアコンでは消費電力の3倍~5倍の起動電力が必要になります。エアコン等を使用する場合は、起動電力を考慮してインバーターをチョイスする必要があります。
じゃぁ、大きいインバーターを購入したらいいんだね、と思うかも知れませんが、インバーターが大きくなると、それだけサブバッテリーに負荷がかかります。
また、AC出力の電源をONにしているだけで電気を消費します。大きいインバーターはそれだけ待機電力の消費も大きくなりますので、サブバッテリーとちょうど相性がいいサイズのインバーターをチョイスする事をおススメします。
●オフグリッドシステム構築のメリット・デメリット
今までちょっと気にしながら使用していた家電類を、気兼ねなく使用出来る様になり、キャンピングライフが豊かに、そして快適になります。
そして停電や災害など非常時にも頼りになる存在です。我が家にはペットがいるのですが、避難場所に一緒に連れて行く事は少し躊躇われます。でもキャンピングカーにペットを先に避難させておく事が出来たら、それ以外の事に心を配る事が出来ますので、オフグリッドシステムはとても意味があると思います。
そして、オフグリッドソーラーシステムの構築=自家発電の構築ですので、経済的で何より発電時に二酸化炭素を排出しない等環境に優しい事もオフグリッドのメリットです。
デメリットは、何と言っても天候に左右される事です。曇りや雨の時、冬場は発電量が減りますので、必要な電力量を賄え事が起こる事も考えられます。また自分仕様のシステムを構築出来る柔軟性はあるものの、その為の設備投資に一定の費用が掛かる事も事実です。この辺りはご自身のニーズに合ったパワーシステムを採用される事をおススメ致します。
パワーシステムの事、各機器のスペックの事等、「よくわからない」「どんなものを選んだらいいか見当がつかない」等ございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせ下さい。
●まとめ
オフグリッドソーラーシステムの構築を構想してから半年。やっと作業に取り掛かる事が出来ました。
発案後、構成図を作成し、必要なパーツを購入、そして今回購入したパーツの取付け作業を行いました。
オフグリッドシステムにとって欠かす事の出来ない武器(アイテム)であるソーラーパネルの貼り付け時には、パーツの寸法を間違えてカットしてしまったりとバタバタするシーンもありましたが、今度使用する時の事を考えるとワクワク感最強!って感じの一週間でした。出来上がったキャンピングカーを眺めながら、基地が完成した様な気持ちにもなりました。
今回オフグリッドソーラーシステムを新しくした事で、安全性も利便性も大幅にアップしました。単に趣味から始まった事でしたが、このオフグリッドソーラーカーが災害対策や新しい生活環境または業務環境をも生み出している事に気づき、是非皆様にもオフグリッドソーラーシステムの良さに触れて頂きたいと思っております。これからオフグリッドソーラーシステムの採用をお考えの方は、お気軽に弊社までお問い合わせ下さい。
お一人お一人に合ったパワーシステムの構成からお手伝いさせていただきます。
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