8ナンバーとはどんな車なのか?8ナンバー登録手続きや構造変更について解説

8ナンバーの車とはどんな車なのか、そして8ナンバーを取得するための手続きや構造要件について解説します。

これから構造変更して8ナンバー登録を行おうとお考えの方は8ナンバー構造要件にしっかり目を通してから構造変更してくださいね。

他にも構造変更に関する記事がありますので、構造変更に興味のある方は是非ご覧ください。


● 門真の整備士が語る「構造変更」『新車のハイエースの5人乗りモデル(スーパーGL)を6人乗りに新車から構造変更』

● 門真の整備士が語る ハイエースの構造変更 ローダウン・オーバーフェンダー編


○ 8ナンバーとは?

そもそも8ナンバーの車両とは、いったいどのような車なのでしょう。

8ナンバーの車両は「特殊用途自動車」という区分に分類されます。
救急車や消防車などの緊急車両、その他にも霊柩車などといった特殊な構造を持つ自動車のことをいいます。

「車いす移動車」といわれる区分の8ナンバーの福祉車両もあります。
献血で使用される採血車も8ナンバーに分類されます。
一般の方が使用する車両ではキャンピングカーにも8ナンバーが適用されています。

 車両の種類車種
使用目的専ら緊急の用に供するための自動車【13形状】
救急車、消防車、警察車、臓器移植用緊急輸送車、保線作業車、検察庁車、緊急警備車、防衛省車、電波監視車、公共応急作業車、護送車、血液輸送車、交通事故調査用緊急車
法令等で特定される事業を遂行するために専ら使用する自動車【13形状】
給水車、医療防疫車、採血車、軌道兼用車、図書館車、郵便車、移動電話車、路上試験車、教習車、霊柩車、広報車、放送中継車、理容・美容車
特種な目的に専ら使用するための上記以外の自動車
車体の形状特種な物品を運搬するための特種な物品積載設備を有する自動車【15形状】
粉粒体運搬車、タンク車、現金輸送車、アスファルト運搬車、コンクリートミキサ
ー車、冷蔵冷凍車、活魚運搬車、保温車、販売車、散水車、塵芥車、糞尿車、ボー
トトレーラ、オートバイトレーラ、スノーモービルトレーラ
患者、車いす利用者等を輸送するための特種な乗車設備を有する自動車【2形状】
患者輸送車、車いす移動車
特種な作業を行うための特種な設備を有する自動車【32形状】
消毒車 寝具乾燥車、入浴車、ボイラー車、検査測定車、穴堀建柱車、ウインチ車、クレーン車、くい打車、コンクリート作業車、コンベア車、道路作業車、梯子車、ポンプ車、コンプレッサー車、農業作業車、クレーン用台車、空港作業車、構内作業車 工作車 工業作業車 レッカー車 写真撮影車 事務室車 加工車 食堂車、清掃車、電気作業車、電源車、照明車、架線修理車、高所作業車
キャンプ又は宣伝活動を行うための特種な設備を有する自動車【3形状】
キャンピング車、放送宣伝車、キャンピングトレーラ


要するに、普段の生活では使用しない特殊な設備が備えられている車両が8ナンバーに分類されることになります。

キャンピングカーとして販売されている車両は8ナンバー登録条件をクリアした上で販売されていますが、乗用車やトラックなどをユーザー仕様にカスタマイズしたい場合、様々な条件をクリアする必要があります。


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○ 8ナンバーを取得するメリット・デメリット

他のナンバーと比較して8ナンバーは税金や保険料などの維持費が安いことがメリットであると言われています。


【自動車税や重量税】

例えば、排気量2000㏄の車両の自動車税で比較すると、差額は7,900円となり、2割以上安くなります。

車両自動車税自動車重量税
8ナンバー31,600円16,400円
普通乗用車39,500円32,800円

【自動車保険料】

自動車税や自動車重量税は安くなるというメリットがある一方、自賠責保険料が高くなってしまうことがデメリットと言えます。

また8ナンバーだと加入出来ない保険会社もあり、特殊用途自動車の任意保険を取り扱っている保険会社が少ないのもデメリットです。


【高速料金】

車内で炊事をせず8ナンバーである必要がない場合は4ナンバーか1ナンバーが販売されてきましたが、高速道路料金に違いがあります。

4ナンバーと8ナンバーは普通車料金ですが、1ナンバーは中型料金となります。


【車検期間】

車検の有効期限は、8ナンバーは2年間、4ナンバーと1ナンバーは1年間になります。

初回の車検は、軽自動車や普通自動車だと3年後ですが、8ナンバーだと2年後になることに注意しておきましょう。


【その他】

・路線バスや電車のような横向きシートは8ナンバーにしか認められません。

・8ナンバーで登録した場合は、車検時に車内の機材を降ろさなくても大丈夫です。

 →1ナンバー貨物車の場合、車検の度に車内にある機材をすべて降ろして車検を受ける必要があります。

・1ナンバーだとホイールの基準はJWL-Tとなりますが、8ナンバーのキャンピングカーであれば乗用車用のタイヤで良いのでJWLのホイールを装着する事が可能となります。

・1ナンバー貨物車に乗用タイヤはNGですが、8ナンバーであれば乗用タイヤOKです。
 タイヤがボディからはみ出すと違反となりますので、幅広タイヤを装着したい方は確認してくださいね。
 タイヤがボディからはみ出していた場合はオーバーフェンダーを装着しましょう。

オーバーフェンダーについては、「門真の整備士が語る ハイエースの構造変更 ローダウン・オーバーフェンダー編」を参考にしてください。


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○ キャンピングカーの「構造要件」変更(2022年4月1日付け)

国土交通省は2022年4月1日付けで、「キャンピング車」として登録できる車の構造要件を改正しました。
国土交通省が2001年にキャンピング車の構造要件を定めて以来、初めての改正となります。

この規定を満たせば、「キャンピング車」として8ナンバー登録が可能となります。

「キャンピング車」の構造要件の大きな変更点は2つあります。


①室内高の緩和

【改正前】
シンク前の車内高は、床から天井まで「1600㎜以上の空間を有していること」


【改正後】
シンク前の車内高は、床から天井まで「1200㎜以上の空間を有していること」


トヨタのハイエースの標準ルーフやミドルルーフ、トヨタのタウンエースや日産のNV200をベースとしたままでは車内高1600㎜以上を確保することは出来ませんでした。

この場合、4ナンバーで登録するか、ポップアップルーフを架装するか床を掘り下げて車内高1600㎜を確保した上で8ナンバーを登録するかのいずれかしか無く、当然のことながら、架装などには手間もコストもかかっていました。

しかし、今回の構造要件の変更により、ポップアップルーフの架装や床の掘り下げをせずに8ナンバー登録が可能となれば、コストを抑えることが可能となり、レイアウトの自由度も増す事となりました。


②就寝定員の最低数の緩和

【改正前】
乗車定員の1/3以上(端数は切り上げ)を就寝定員とし、乗車定員3名以下の場合   は2名以上の大人用就寝設備を有すること

【改正後】
乗車定員3名以下の場合は1名以上 (端数は切り捨て)


就寝設備が1名分あれば良いということで、コストを抑えられ、より安価な車両を作ることが可能となりました。

これらの改正により、車体構造の自由度が高くなり、ミニバンや軽自動車、屋根部分の架装が難しい車両もキャンピングカーに変更することが可能となります。

今後販売されるキャンピングカーにも大きな期待が出来ることでしょう。
ご自身で構造変更する場合も、これまで以上に思い通りの車両を作り上げることが可能となるでしょう。


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○ 8ナンバー構造要件

8ナンバーの車両は様々ありますが、参考として、身近で使用する車両としてキャンピング車、加工車(キッチンカーなど)、工作車の構造要件を以下にまとめます。

特殊用途車として用途に応じた構造要件を満たしていなければ、8ナンバー登録する事が出来ません。

構造要件の説明を読んだ正直な感想は…「難しい!」この一言に尽きます。
これまでに陸運局で何度も書類の内容を確認させて頂いたことを思い出します。

「自動車の用途等の区分について(依命通達)」の細部取扱いについて 参照】



【キャンピング車の構造要件】

キャンピング車は、車室内に居住してキャンプをすることを目的とした自動車であって、次の各号に掲げる構造上の要件を満足しているものをいう。
1.次の各号に掲げる要件を満足する就寝設備を車室内に有すること。

(1)就寝設備の数

乗車定員の3分の1以上(端数は切り捨てることとし、乗車定員2人以下の自動車にあっては1人以上)の大人用就寝設備を有すること。
この場合において、大人用就寝設備を少なくとも1人分以上有している場合は、子供用就寝設備2人分をもって大人用就寝設備1人分と見なすことができる。

 
(2)大人用就寝設備の構造及び寸法

 ア)就寝部位の上面は水平かつ平らである等、大人が十分に就寝できる構造であること。
 
 イ)就寝部位は1人につき長さ1.8m以上、かつ、幅0.5m 以上の連続した平面を有すること。
 
 ウ)1人当たりの就寝部位毎に、就寝部位の上面から上 方に0.5m以上の空間を有すること。ただし、就寝部位 の一方の短辺から就寝部位の長手方向に0.9mまでの範 囲にあっては、0.3m以上の空間があればよい。
 
 
(3)子供用就寝設備の構造及び寸法

(2)の要件は、子供用就寝設備について準用する。この場合において、(2)イ)中「1.8m」とあるのは「1.5m」と、「0.5m」とあるのは「0.4m」と、(2)ウ)中「0.5m」とあるのは「0.4m」と、「0.9m」とあるのは「0.8m」と読み替えるものとする。
 

(4)就寝設備と座席の兼用
就寝設備は、乗車装置の座席と兼用でないこと。ただし、就寝設備及び乗車装置の座席が次の各号のすべての要件を満足する場合は、就寝設備と乗車装置の座席を兼用とすることができる。

 ア)乗車装置の座席の座面及び背あて部が就寝設備になることを前提に製作されたものであること。 
 
 イ)乗車装置の座席の座面及び背あて部を就寝設備として使用する状態にした場合に就寝設備の上面全体が連続した平面を作るものであること。
 
 
(5)格納式、折りたたみ式及び脱着式の就寝設備は、これを展開又は拡張した状態で(2)又は(3)の要件を満足すること。

2.次の各号に掲げる要件を満足する水道設備及び炊事設備を有すること。

(1)水道設備

水道設備とは、次の各号に掲げる要件を満足するものをいう。

 ア)10リットル以上の水を貯蔵できるタンク及び洗面台等(水を溜めることができる設備をいう。以下同じ。)を有し、タンクから洗面台等に水を供給できる構造機能を有していること。

 イ)10リットル以上の排水を貯蔵できるタンクを有していること。
 
 ウ)洗面台等は、車室内において容易に使用することができる位置(洗面台等に正対して使用でき、洗面台等と利用者の間に他の設備等がなく、かつ、洗面台等を利用するための床面がその他の床面との間に著しい段差を有していないことをいう。)にあること。
 
 エ)洗面台等を利用するための床面から上方には有効高さ1,600㎜(洗面台等の上端(蛇口、レバー及び浄水器等、水を供給する構造を除く。)が、これを利用するための床面から上方に850mm以下の場合にあっては1,200mm)以上の空間を有していること。
 

(2)炊事設備
炊事設備とは、次の各号に掲げる要件を満足するものをいう。

 ア)調理台等調理に使用する場所は0.3m以上×0.2m以上 の平面を有すること。
 
 イ)コンロ等により炊事を行うことができること。
 
 ウ)火気等熱量を発生する場所の付近は、発生した熱量により火災を生じない等十分な耐熱性・耐火性を有し、その付近の窓又は換気扇等により必要な換気が行えること。

 エ)コンロ等に燃料を供給するためのLPガス容器等の常設の燃料タンクを備えるものにあっては、燃料タンクの設置場所は車室内と隔壁で仕切られ、かつ、車外との通気が十分確保されていること。
 
 オ)エの燃料タンクは、衝突等により衝撃を受けた場合に、損傷を受けるおそれの少ない場所に取り付けられていること。
 
 カ)コンロ等に燃料を供給するための燃料配管は振動等により損傷を生じないように確実に取り付けられ、損傷を受けるおそれのある部分は適当なおおいで保護されていること。
 
 キ)調理台等は、車室内において容易に使用することができる位置(調理台・コンロ等に正対して使用でき、調理台・コンロ等と利用者の間に他の設備等がなく、かつ、調理台・コンロ等を利用するための床面がその他の床面との間に著しい段を有していないことをいう。)にあること。

 ク)調理台等を利用するための床面から上方には有効高さ1,600㎜(調理台等の上面が、これを利用するための床面から上方に850mm以下の場合にあっては1,200mm)以上の空間を有していること。


(3)水道設備及び炊事設備の設置方法
水道設備のうちの水タンク、炊事設備のうちの常設の燃料タンクその他これらの設備に付帯する配線・配管については、床下等に配置しても差し支えない。また、水道設備のうちの水タンク及び炊事設備の設置場所が他の部位と明確に区別ができる等専用の設置場所を有する場合には、取り外すことができる構造のものでもよい。

3.水道の洗面台等及び炊事設備の調理台・コンロ等並びにこれらの設備を利用するための場所の床面への投影面積は、0.5㎡以上あること。

4.「特種な設備の占有する面積」について、次のとおり取り扱うものとする。

(1)車室内の他の設備と隔壁により区分された専用の場所に設けられた浴室設備及びトイレ設備の占める面積は、「特種な設備の占有する面積」に加えることができる。


(2)車室内が明らかに二層構造(注)である自動車(キャンプ時において屋根部を拡張させることにより車室内が二層構造となる自動車を含む。)の上層部分に就寝設備を有する場合には、用途区分通達4-1-3③の「運転者席を除く客室の床面積及び物品積載設備並びに特種な設備の占有する面積の合計面積」に当該就寝設備の占める面積を加える場合に限り、「特種な設備の占有する面積」に当該就寝設備の占める面積を加えることができるものとする。

 
(3)1.(4)ただし書きの規定により、就寝設備と乗車装置の 座席を兼用とする場合には、当該就寝設備のうちの乗車 装置の座席と兼用される部分の2分の1は、「特種な設 備の占有する面積」とみなすことができる。


(4)1.(5)に規定する格納式及び折りたたみ式の就寝設備であって、当該設備を展開又は拡張した部分の基準面への投影面積と乗車装置の座席の基準面への投影面積が重複する場合、その重複する面積の2分の1は、「特種な設備の占有する面積」とみなすことができる。
 
(注)二層構造
ここでいう二層構造とは、上層部の最下部と上層部の投影面である床面との間のすべての位置において、1,200mm以上の有効高さがあり、かつ、上層部の上面と屋根の内側との間のすべての位置において1,200mm以上(上層部の上面が就寝設備である場合には500mm以上(就寝設備の一方の短辺から就寝設備の長手方向に0.9mまでの範囲にあっては、0.3m以上))である構造のものをいう。

5.構造要件に規定されない任意の設備(乗車設備以外の座席(道路運送車両の保安基準の適用を受けない座席をいう。)及びテーブルに限る。)は、その他の面積とし、その基準面への投影面積と1.(5)に規定する格納式及び折りたたみ式の就寝設備を展開又は拡張した部分の基準面への投影面積が重複する場合にあっては、用途区分通達4-1-3③の「運転者席を除く客室の床面積及び物品積載設備並びに特種な設備の占有する面積の合計面積」に当該就寝設備の重複する部分を加える場合に限り、「特種な設備の占有する面積」に当該就寝設備の重複する部分の2分の1を加えることができるものとする。

6.脱着式の設備は、走行中の振動等により移動することがないよう所定の場所に確実に収納又は固縛することができるものであること。また、専用の収納場所を有する場合にあっては、「特種な設備の占有する面積」に当該収納場所の占める面積を、脱着式の設備を当該格納場所に格納する面積を上限として、加えることができるものとする。

7.物品積載設備を有していないこと。

【留意事項】
・乗用自動車用又は 貨物自動車用に製作された標準座席 は、1.(4) ア)に該当しない例とする。
 
・つなぎ目に穴・すき間があいているものは、1(4)イに該当しないものとする。

・脱着式の設備は、 車両重量に含める ものとする。
 
・2.(1) エ)及び2.(2) ク)において、「空間を有していること。」とあるのはキャンプ時において、車室を拡張させることができる構造のものであって、展開した状態において2.(1) エ)及び2.(2) ク)で規定する有効高さを満足する場合を含むものとする。
 
・乗車設備、構造要件で規定する設備(二層構造の上層部分に設ける就寝設備を除く。)及びその他構造要件で規定されていない任意の設備と兼用である部位は、6「専用の収納場所」に該当しないものとする。


【加工車の構造要件】

キッチンカーのベース車両として1ナンバーや4ナンバーの貨物車が利用されます。

保健所の営業許可は1ナンバーのままでも取得可能ですが、「8ナンバーを取得するメリット・デメリット」に記述した通り、1ナンバーは毎年車検を受ける必要がありますが、8ナンバーだと車検は2年に一度受ければ良いのがメリットです。

また、1ナンバー貨物車の場合、車検の度に車内にある機材をすべて降ろして車検を受ける必要があります。
8ナンバーで登録した場合は、車検時に車内の機材を降ろさなくても大丈夫です。

食料品の原料や素材の加工作業を行うために使用する自動車であって、次の各号に掲げる構造上の要件を満足しているものをいう。
1.加工作業に必要な加工台、流し台、加工するための用具を収納する棚等を屋内に有し、かつ、当該設備は屋内において使用することができるものであること。

2.加工作業を行う場所には、照明及び換気装置を有すること。

3.火気等熱量を発生する場所の付近は、発生した熱量により火災を生じない等十分な耐熱性・耐火性を有し、その付近に換気装置を備え必要な換気が行えること。

4.1.の設備の付近には一辺が30cmの正方形を含む0.5㎡以上の加工作業用の床面積を有し、かつ、当該床面から上方1,600mm(1の設備の端部と乗降口との車両中心線方向の最遠距離が2m未満である場合は、1,200mm)以上が確保されていること。



【工作車の構造要件】

「8ナンバーを取得するメリット・デメリット」に記述した通り、8ナンバーだと車検は2年に一度受ければ良いのがメリットです。

1ナンバーや4ナンバーだと2回目以降、毎年車検を受けないといけないため、8ナンバーに構造変更して車検を2年毎にしたいという方もいらっしゃいます。

一般の方が8ナンバーに変更する場合、キャンピング車、加工車、工作車のいずれかを選択される方が多いですが、キャンピングカーで登録すると、【キャンピング車の構造要件】にある通り、水道設備や就寝設備を設けないといけないなど、非常に構造要件が多く複雑です。

加工車も【加工車の構造要件】にある通り、加工作業に必要な加工台、流し台などの設備の設置が必要となります。 その点、工作車であれば、下記の3点を満たしていればよいので比較的、構造変更は容易になります。

電気、ガス、水道、電気通信等の事業の遂行のために使用する自動車であって、次の各号に掲げる構造上の要件を満足しているものをいう。
1.電気、ガス、水道、電気通信等の設備工事作業に必要な作業台等の設備を有すること。

2.作業台等は屋内に設けられており、資材を加工等するための万力、その他の加工等を行うための設備を有していること。

3.1及び2の設備は、作業する者が屋内において使用することができるものであって、その設備の付近には一辺が30cmの正方形を含む0.5㎡以上の作業用床面積を有し、かつ、当該床面の上方に1,600mm(2の設備の端部と乗降口との車両中心線方向の最遠距離が2m
未満である場合は、1,200mm)以上が確保されていること。

【留意事項】
・工作等の作業で使用する椅子は、乗車定員を算定しないものとする。


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○ 構造変更検査とは

道路運送車両法第67条より、自動車の長さ、幅、高さ、乗車定員、最大積載量、車体の形状、原動機の型式、燃料の種類、用途、などに変更を生じるような改造をした場合、使用の本拠地を管轄する運輸局または自動車検査登録事務所校内の自動車検査独立行政法人の検査場(全国で93箇所)にて構造等変更検査を受ける必要があります。

ただし、大幅な改造をしていない場合、自動車の長さ、幅、高さの変更が一定の範囲内であれば構造等変更検査は不要となり、記載変更のみで済みます。

長さ高さ車両重量
小型自動車 軽自動車±3㎝±2㎝±4㎝±50㎏
普通自動車 大型特殊自動車±3㎝±2㎝±4㎝±100㎏


また、下表の指定する自動車部品を溶接またはリベット以外の取り付け方法により装着した場合も軽微な変更とし、構造等変更検査は不要です。

機能的部品アクセサリー的部品
身体障害者用操作装置 エア・バッグ けん引用トレーラ・ヒッチ ショック・アブソーバ ストラット式ショック・アブソーバ マフラー、排気管 タイヤ、タイヤ・ホイール 等ルーフ・ラック、キャリア エア・スポイラ、エア・ダム グリル・ガード、ドア・プロテクタ オーディオ類、ナビゲーションシステム アンテナ、ラダー、トウバー 等

上記のように、軽微な変更の場合、構造等変更検査は不要ですが、保安基準に適合していることが必要であり、ユーザーの責任の下、管理する必要があります。

もしも、違法に改造しているとみなされた場合は、車検に通りませんし、違反者として懲役6か月もしくは罰金30万円のペナルティが課せられますので、注意してください。


改造が許可されている指定部品は以下の通りです。
保安基準を満たしていなければ車検に通りませんのでご注意ください。
また、指定部品以外のパーツを改造してしまうと違法となり、公道を走ることも出来ませんので、確認した上で改造を行いましょう。


指定部品
車体周りエア・スポイラー、デフレクター、ルーフラック、フォグライト、エアロパーツ類など
車内オーディオ、空気清浄機、カーナビゲーション、無線機など
操作装置変速レバー、パワー・ステアリング、シフトノブなど
走行装置タイヤ、ホイール
緩衝装置ストラット、コイル・スプリングなど ※但し、大幅な車高調整により一定範囲を超えた場合、構造変更が必要になります。
排気系マフラー、排気管など
その他ミラー、火器類、身体障害者用操作装置など

【違法改造の例】
・ブレーキランプやウインカー、フォグランプなどの灯火の色を規定色以外に変更している
・タイヤが車体からはみだしている
・不正マフラー(形状や音量、有害物質の量が車検対応でないもの)
・可視光線透過率70%未満の着色フィルムをフロントガラスや運転席などの窓ガラスに貼っている
・窓ガラスに規定されているステッカー以外のものを貼っている
・ミュージックホーンや音が大きすぎるクラクション(基準は前方7mの位置で112db以下93db以上)
・突起が鋭利なサイドミラーや保安基準を満たさないパーツなど、歩行者に接触した際に危険を及ぼすパーツを装飾している

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○ 構造変更と8ナンバー登録の流れ

「8ナンバー構造要件」をもとに、構造変更作業を開始しましょう!

●8ナンバー登録申請当日までの準備

1.ベースとなる車両の準備
2.計画を立てて構造変更
3.書類の準備
4.構造変更検査の事前書面審査
5.構造変更検査の実車検査の予約


●8ナンバー登録申請当日

6.構造等変更検査の実車検査
6-1.検査不適合
・再点検、整備
・再入場、再申請

6-2.検査合格
・重量税納入
・変更登録申請
・旧ナンバープレート返却
・新ナンバー取り付け
・検査標章ステッカー貼替

7.任意保険の車両情報変更  


1.ベースとなる車両の準備

ベースとなる主な車両は以下の通りです。

メーカー名車種
トヨタハイエース、カムロード、タウンエース、ライトエース、コースター、ヴォクシー、グランドハイエース
HONDAN-VAN、NBOX、フリード、ステップワゴン、バモスホビオ、アクティバン
日産バネット、セレナ、アトラス、クリッパー、シビリアン、NV100、NV200、NV250、NV350キャラバン
日産セレナ、バネット、キャラバン、クリッパー、キューブ、アトラス、シビリアン、NV100、NV200、NV200(バネットワゴン)16X-2R、NV250、NV350キャラバン
MAZDAボンゴトラック、スクラム、ボンゴバン
三菱タウンボックス、デリカ、デリカD3
SUZUKIエブリィ、キャリィ、ハイゼット、ハスラー、スペーシア
ISUZUビーカム、エルフ
三菱ふそうローザ、キャンター
フィアットフィアットデュカト、デュカト
ベンツベンツ
フォルクスワーゲンフォルクスワーゲンT6
フォードフォード
クライスラークライスラー


2.計画を立てて構造変更



構造要件を満たすようしっかりと計画を立て、必要な材料や設備を準備し、構造変更を行います。

作り終えてから構造要件を満たしていなかった…と後悔することのないよう、計画段階からプロに相談することをお勧めします。

構造要件で不明な点があれば、陸運局や整備工場などの構造変更のプロフェッショナルに質問し、疑問点や不明点を潰してから作業に取り掛かるようにしましょう!

旅行と同じで計画を立てるのって本当に楽しいですよね。
キャンピングカーであれば、貴方だけの居心地の良い空間、家族やペットと楽しく過ごすための空間、災害時でも利用できる十分な設備、など、お客様のご利用したいシーンに合わせた空間作りを楽しんでくださいね。

3.書類の準備



構造等変更検査に必要な書類を準備します。

自動車検査登録 総合ポータルサイト 構造等変更の手続 参照)

●申請書(申請内容に合わせて準備します)
OCR申請書各種様式について

2号様式

変更登録(諸元変更があるもの)、更正登録(諸元変更があるもの)、自動車検査証の記入(諸元変更があるもの)、自動車予備検査証の記入(諸元変更があるもの)

●自動車検査証

●自動車検査票

おもて
うら

●点検整備記録簿

●自動車損害賠償責任保険(共済)証明書

●使用者の委任状(認印押印)

  • 委任事項〔自動車検査証記入・構造等変更検査〕
近畿運輸局 各種申請書式集 ●登録関係● ②委任状(記入例あり)
https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000242201.pdf

●所有者の委任状(認印押印)

  • 構造等変更検査に伴い、型式、車台番号又は原動機の型式を変更する場合
  • 委任事項〔変更登録〕
近畿運輸局 各種申請書式集 ●登録関係● ②委任状(記入例あり)
https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000242201.pdf

●手数料納付書(★手数料に関する詳しい内容はこちらをご覧ください)

  •  自動車検査登録印紙を貼付、キャッシュレスの場合はその旨記載。
近畿運輸局 各種申請書式集 ●登録関係● ⑯手数料納付書
https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000007836.xls

●自動車重量税納付書(重量税印紙貼付して納付)

  • 重量税印紙を貼付、キャッシュレス決済の場合は不要。

●自動車税納税証明書(登録自動車は提示の省略が可能)

  • 登録自動車は原則不要。
  • 地方税のシステムに反映されるまで相応の日数を要する場合があり、確認できない場合は、従来通り証明書の提示が必要になります。


●本人出頭の場合;認印持参


4.構造変更検査の事前書面審査



車両の用途に応じた構造要件を満たすことが出来たら、いよいよ8ナンバー登録の手続きを行います!

構造変更検査の手続きには、「書類審査」と「実車検査」があります。

令和元年10月から「用途等の変更をする使用過程車等の事前書面審査」が開始されました。
条件に該当する場合、事前書面検査を受ける必要があります。

事前書面審査には1週間から10日間程度かかります。

まずは事前提出書類審査の合格を目指しましょう!

事前書面審査に該当しない場合は、実車検査と同時に書類審査を受ければ良いです。

「用途等の変更をする使用過程車等の事前書面審査が始まります」
令和元年10月1日から、新規検査、予備検査又は構造等変更検査を受検する自動車※1 のうち、用途・乗車定員・車両総重量・自動車の種別を変更※2 することにより適用される基準が変わるものについては、当該基準への適合性審査を適正かつ効率的に実施し現車審査時間の短縮が図れるよう、新規検査等に先立って、当該自動車の構造・装置の変更内容などを記載した新規検査等届出書を提出いただき、受理した届出書の事前書面審査が受検日の前日までに終了したものに限り現車審査を実施することになりますので、お知らせします。

※1:対象となる自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車及び大型特殊自動車は対象外)
 ① 使用の過程にある自動車(登録抹消中の自動車を含む)
 ② 自動車予備検査証の交付を受けた自動車
 
※2:対象となる変更内容(乗用自動車・貨物自動車には、派生した特種自動車を含む)
 ① 用途・乗車定員・車両総重量の組み合わせについて、次の区分を移行するもの
  ア 乗車定員9人以下の乗用自動車
  イ 乗車定員10人以上かつ車両総重量が5.0トン以下の乗用自動車
  ウ 乗車定員10人以上かつ車両総重量が5.0トンを超える乗用自動車
  エ 車両総重量が3.5トン以下の貨物自動車
  オ 車両総重量が3.5トンを超え12.0トン以下の貨物自動車
  カ 車両総重量が12.0トンを超える貨物自動車

 ② 乗車定員について、次の区分を移行するもの
  ア 11人以上の自動車
  イ 10人の自動車

 ③ 自動車の種別について、次の区分を移行するもの
  ア 普通自動車
  イ 小型自動車
  ウ 軽自動車
  (普通乗用から小型乗用に変更するもの、小型乗用から普通乗用に変更するもの、小型貨物から普通貨物に変更するものは対象外)  

独立行政法人 自動車技術総合機構
用途等の変更をする使用過程車等の事前書面審査が始まります」参照



5.構造変更検査の実車検査の予約



事前書類審査に合格したら、「改造自動車審査結果通知書」が交付されます。

「書類審査決裁終了」の連絡であれば、次は実車検査の申込みです。

自動車検査インターネット予約システムを利用して、実車検査の予約をしましょう。

受検予定日の前日までに予約を取っておいてください。

【自動車検査インターネット予約システム】

アカウント登録/ログイン後、入力に必要な情報は以下の通りです。

検査種別構造等変更検査
検査車種普通車、中型車・大型車、大型特殊車
検査場門真市であれば、大阪運輸支局
※車検証に記載された車検期日より1ヶ月前から受験可能
 検査不適合の場合も考慮して午前中に予約しておくのがベター
車台番号 スマホ等のカメラを使用して、自動車車検証の二次元コードから車台番号を読み取ることも可能。
大阪運輸支局 「アクセス」
https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/osaka/


6.構造変更検査の実車検査



受検に必要な書類を持参し、構造等変更検査を受けましょう!

大阪運輸支局の構内案内図


大阪運輸支局の構内案内図をベースに説明します。

まず、「C 陸運協会」の整備振興会にて、検査用印紙を購入し手数料納付書に貼り付けます。

重量税も整備振興会で納付して、重量税納付書に印紙を貼り付けます。
なお、構造変更で重量に変更がある場合は、検査にて重量確定後に納付する旨を伝えておいても良いですし、検査後に差額を支払ってもどちらもかまいません。

検査に必要な書類(3.書類の準備 参照)を「A 運輸支局庁舎」の窓口に提出し、内容を確認してもらいます。

予約の確認が取れたら、提出した書類を全て受け取り、検査ラインへ向かいます。
構造変更の場合は、検査ライン8で検査を実施します。

はじめて受検される方は、検査担当者に申し出ておいた方がスムーズです。

構造等変更検査として、自動車の長さ、幅、高さ、最大積載量等の検査を行います。

6-1.検査不適合

検査で、もし不適合となった場合は、不適合項目を再度、点検・整備を実施します。
簡単な修理であれば、陸運局周辺にある修理工場で対応して頂くことも可能です。
東伸自動車であれば、もちろん弊社で点検整備を実施いたします!

6-2.検査に合格

検査に合格したら、8ナンバー取得まであと少しです!



●重量税納入

事前に納入済で無い方は、このタイミングで納入します。
自動車税事務所にて、検査で確定した重量をもとに重量税を納入します。


●変更登録申請

登録窓口に持参した全ての書類を提出します。
書類の確認後、新しい車検証と検査標章(ステッカー)が交付されます。


●旧ナンバープレート返却

旧ナンバープレートはプラスドライバーを使ってご自身で取り外します。
プラスドライバーを持参した方が良いでしょう。
標板返納・交付の窓口にて、旧ナンバープレートを返却し、ナンバープレート代金を支払って新しいナンバープレートを購入します。


●新ナンバー取り付け

新しく交付されたナンバープレートは、封印場にてご自身で取り付けを行います。
係の方にて車台番号の確認行い、封印のキャップを取り付けてもらいます。

これでやっと8ナンバー取り付け完了です!


●検査標章ステッカー貼替

旧検査標章ステッカーを剥がし、新しく交付された検査標章ステッカーに貼り換えます。


7.任意保険の車両情報変更



構造変更検査が終わって8ナンバーを無事取得してほっと一息。疲れましたね。さて帰りましょう…
いやいや、ちょっと待ってください!

陸運局を出る前に忘れずにやっておいて欲しいことがあります!

帰り道に事故をしないとは限りません。
陸運局を出て公道を走る前に、任意保険の契約先に、新しいナンバーを連絡するのを忘れないでくださいね!

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○ プロにおまかせください!

前述の通り、構造要件は非常に細かく記載されており、これらの条件を満たすだけでも一苦労です。

さらに、構造等変更検査に必要な書類を準備するのも大変で、陸運局(門真市であれば、大阪運輸支局)に出向き、書類の不備や不足、構造要件を満たしていない箇所があれば、条件クリアするまで何度も書き直すことになる場合もあります。

陸運局にてパーツの強度を証明する書類の提出を促され、さらに追加書類を準備しなければならないケースもあります。

事前書面審査が必要だった場合、審査が通って、やっと構造変更検査が行えます。
(審査結果が出るまで1週間~10日間かかります)

もし貴方がはじめての構造変更、そして8ナンバー登録をしようとお考えならば、時間と労力を最小限に抑えるためにも、構造変更の計画段階からプロに相談してみませんか?

東伸自動車はこれまでに何件もの構造変更に携わってきた実績があります。

書類の準備、陸運局での手続きなど、お客様ご自身で行うには複雑でややこしい手続きもすべて東伸自動車にお任せ頂き、お客様のご希望通りの車を一緒に作り上げていきたいと考えております。

ちなみに、構造変更の手続きは車検を受けるタイミングと同時がおススメです。

なぜなら、構造変更申請を行うと、車検の残りの有効期間が抹消されてしまうからです。
車検の有効期間が大幅に残っている状態でだと非常に勿体ないので、有効期限の満了日を前もって確認してくださいね。

しかし、構造変更申請の事前書面審査が必要だった場合、審査結果が出るまで1週間から10日間程度かかりますので、車検が切れる前に手続きを終えられるよう多少の余裕を持って手続きを行うようにしましょう!

念のため、書類の不備や構造要件を満たしていない場合もあるという事を考慮しておきましょう。


まずはお客様のご希望を伺った上で、構造要件をクリアするためしっかり計画を立てます。
そして、お客様ご自身で必要な設備をご準備して頂いても、弊社で準備などすべてお任せ頂いてもどちらでも構いませんので、スタッフに何でもご相談ください。

構造変更のアドバイスも可能ですので、お気軽にお声がけくださいね。
お客様ご自身での構造変更が難しい場合は、国家資格を保有したベテランスタッフにすべてお任せください!

東伸自動車はお客様に寄り添ったサービスをご提供することを心掛けています。

8ナンバー登録の構造要件を満たすのはなかなか難しそうだな…と諦める前に一度ご相談ください。
お客様が安心安全で快適なカーライフを満喫するためのお手伝いをぜひ弊社スタッフにお任せください。

ご連絡をお待ちいたしております。


〒571-0044
大阪府門真市松生町6-21

有限会社東伸自動車
(担当:熊野・吉村まで)

電話:06-6916-3121