車の買取り査定について Vol.2[中古車市場のこれから、買取り市場の地域性]

「車の買取り査定」についての記事です。

これまでのお話は、

車の買取り査定について Vol.1[下取りと買取りの違い、車買取りの仕組み、買取り市場の動向・規模]

を是非お読みください。

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⑤ 中古車市場のこれから

 2022年上期(1月~6月)も、半導体不足や調達部品の納期遅れなどの影響により、自動車業界にとっては厳しい状況が続きました。日系自動車メーカー8社で、国内生産台数がプラスに転じた企業はありません。海外生産を含めた数字(世界生産)で見ると、スズキとSUBARUのみが前年実績を上回っています。

メーカー名国内生産台数(台)前年比(%) 
トヨタ自動車1,271,659▲18.4 
ホンダ(本田技研工業)312,265▲1.3 
日産自動車233,679▲17.9 
スズキ423,935▲6.1海外も含めると+4.8
ダイハツ工業408,661▲17.7 
マツダ331,922▲20.7 
三菱自動車197,666▲11.8 
スバル(SUBARU)240,273▲0.8海外も含めると+0.9
合計3,420,060▲14.3 

 下期以降は、半導体の供給が改善する見通しもあり、生産計画も少しずつ回復の兆しを見せています。新車の登録台数を見ても、14か月ぶりに黒字に転換していますので、中古車市場のこれからを勘案する時、回復の兆しがこのまま安定する事が中古車業界にとっても重要です。そしてアフターコロナの社会を見据えた時、中古車の安定した供給は自動車業界全体のより良い循環の一翼となると考えます。

2021年台数前年比(%)
1月236,592106.8
2月262,37297.8
3月384,114102.4
4月210,353122.2
5月193,750130.9
6月234,697109.2
7月247,148103.3
8月206,568104.4
9月205,42370.0
10月176,74369.8
11月219,27686.6
12月218,78289.8
2022年  
1月207,12387.5
2月213,69981.4
3月327,29385.2
4月178,76185.0
5月161,35483.3
6月197,53084.2
7月214,13486.6
8月179,07586.7
9月242,042117.8
一般社団法人日本自動車販売協会連合会 HPの統計より
参照 http://www.jada.or.jp/data/year/y-r-hanbai/y-r-all/

 繰り返しになりますが、新車と中古車は、表裏一体の間柄にあります。

 新車の生産・販売(納車)台数が回復しなければ、中古車の買取り市場が落ち着きを取り戻す事はありません。ただ、中古車市場は新車の生産・販売台数以外にも、社会で起こっている様々な出来事の影響を受けています。私たちがニュースでよく耳にする「円安」もその一つです。これらの要因が中古車市場にどの様な影響を与えているのでしょうか?そしてこれからどの様な事が考えられるのでしょうか?国内外別々に見てみたいと思います。

国内市場

 消費者が中古車を購入する理由の多くは「費用面」にあります。「費用を抑えたい」「新車だと手が出なくても中古車なら買える」など価格面のメリットを挙げると共に「すぐに乗れる」など納期の早さが中古車の魅力です。「消費傾向として、中古車を購入する人は次も中古車を購入する傾向にあります。」と前述いたしました。中古車には確固たるニーズがあります。

 自動車購入者の約4割が中古車で、その中古車を購入したユーザーの多くは、「中古車購入に満足している」と答えています。高い技術力の結集である日本の自動車、今では10年・10万キロ以上使用する事も十分可能です。そしてそれを支える整備力、それが正のスパイラルとなって、中古車業界の礎となっています。しかし、中古車市場は確実に変化の時期を迎えています。

 コロナ禍以降、消費者の自動車に対する考え方・価値観は変化しました。様々な社会情勢に影響を受け、グローバル化が裏目に出た自動車産業のサプライチェーン、様々な要因で需要と供給のバランスが崩れ、その影響が中古車市場に流れ込んで現在に至っています。その結果、ITを活用した中古車売買の形が台頭したり、業者が個人間取引に注目する様になる等、変化が顕著に現れはじめました。

 売上面を見れば右肩上がりの中古車業界ですが、今まで生産に影響を与えていたパンデミックや、世界的なインフレの流れ、為替(円安)等が落ち着けば、新車も中古車も本来の均衡を取り戻します。需給の転換を迎えるという事は、中古車価格の下落を意味しますが、急激な下落は誰にとってもダメージになります。それは消費者も例外ではありません。購入した車種の平均単価が下がるという事は、保有する車の資産価値が下がる事を意味します。数年後、車を乗り換える為に査定してもらった時にはビックリする程安くなっている事も十分考えられます。

 かつてない供給ショックは、多大な影響を国内市場に及ぼしていますが、今後、新車の供給状況と在庫の予測が重要になります。新車の供給状況・在庫状況は、中古車への要望(需要)の変化につながりますので、自動車業界の各プレイヤーは来るべきその時期を看取し、冷静に対応する事が求められます。

日本から海外へ

 日本の中古車はあらゆる国に輸出されています。有名なのはロシアへの輸出で、ニュースでもよく取り上げられています。他にはイギリス連邦など右ハンドル車を利用している国などが挙げられます。今は特に円安の為、割安感があり海外からの需要は高まっています。

米ドル建て決済が一般的な中古車輸出では為替レートが大きく影響します。現在の様に円安の場合、円が値下がりした分為替差益が生じるので輸出業者にとっては追い風になります。為替差益が出た分で、次の車の仕入れが少々高くても、買い進める事が可能になり、この繰り返しが中古車市場の相場を押し上げる一因になっています。

 また業者にとって大きいのが、消費税の還付です。私たちは何かを購入した時、消費税を支払っています。軽減税率の対象品目なら8%(食料品など)、それ以外は10%というのが一般的な理解です。この軽減税率は輸出品(この場合中古車)にも適用されていますが、軽減税率なんと0%(全額還付)なのです。これは、輸出還付制度によるものですが、輸出した売上高に対してだけではなく、仕入れ等に含まれている消費税も還付される仕組み(仕入税額控除方式)なので、その分の消費税が還付対象になります。これは「内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しない」という考えに基づいています。

(国税庁 輸出取引の免税 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6551.htm

 なお、輸出売り上げが100%の会社の場合は、会社事務所の諸経費(水道代や電話代、事務用品等)も消費税還付の対象となります。また輸出抹消登録によって、自動車税の還付等もありますので、業者にとってはとても大きな金額になります。

 日本から海外へ輸出されていく中古車達、新車の供給遅れ、円安による利益の享受や輸出還付制度等、海外の業者にとっても、日本の業者にとっても今は追い風である事は間違いありませんが、では日本の中古車が選ばれる理由はそれだけでしょうか?

 中古車の輸出台数は、新型コロナウィルス感染症の拡大により2020年一旦落ち込みましたが、順調に伸びているのが数字で見て取れます。2021年度の中古車輸出台数は、1,224,954台で前年比+15.33%の伸びになっています。過去10年の中古車輸出台数は以下の通りです。

2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年
838,401857,5701,004,8451,163,1091,283,3051,254,0741,187,7101,297,7081,326,6191,295,8851,062,0931,224,954
(単位:台)

 「為替(円安だから)」だけではなく、日本車は海外でとても人気があります。第一に日本メーカーの車は壊れにくいというイメージが定着しています。日本では「10万キロ乗ったからそろそろ買い替え時かな」となりますが、海外では「10万キロ走っているのに壊れてないなんていい車だ」と評価されます。これは中古車ならではの評価と言っても過言ではありません。

 日本には車検制度があり、車は必ず定期的に整備工場で検査を受けなければいけません。車検に通るようにメンテナンスを受けて良好な状態が維持されています。その上日本の道路は状態が良く、車へのダメージが少ないとされています。何より日本では車を大切に乗るユーザーが多く、体形も小柄な事からシートもへたりにくい等、日本の中古車の状態の良さは、そのまま海外での評価につながっています。

 では、どんな国にどれくらい中古車が輸出されているのか見てみましょう。

 国  名台 数
1位ロシア162,249
2位U・A・E(アラブ首長国連邦)133,233
3位ニュージーランド104,954
4位チリ88,782
5位ケニア73,460
6位モンゴル63,509
7位タンザニア62,428
8位南アフリカ43,692
9位フィリピン39,669
10位パキスタン38,453
2021年1月~12月(1年間)の輸出先と台数 (上位10国)
 国  名台 数
1位ロシア138,250
2位U・A・E(アラブ首長国連邦)98,800
3位ニュージーランド63,115
4位タンザニア51,071
5位ケニア44,530
6位チリ40,631
7位モンゴル37,557
8位マレーシア29,842
9位フィリピン29,061
10位南アフリカ27,200
2022年1月~9月の輸出先と台数(上位10国)

 2021年(通年)、2022年(上半期)共にロシアが1位となっています。順位に多少の前後はありますが、上位に名前を挙がっている国名は概ね同じです。

 ではこれらの国々でどんな車種がどんな理由で人気なのでしょうか?次は人気の車種を国内と海外別々に見てみたいと思います。

人気の車種とその背景

【国内】

 以下は、中古車を取り扱う業者等の「人気中古車ランキング」です。ケーユーについては期間表示が無かったのでブランクになります。データ内容は問合せランキングの場合もあります。

 人気不動のコンパクトカー(軽自動車)に1BOX系、安定のセダン、人気がしっかり定着SUV。

 順位に多少の差異はありますが、いずれの上位にも、コンパクトカー、セダン(プリウス)、1BOXが上位に位置しています。3年前(2019年)の新車販売台数を通称名別に見てみると、上の表の中古車ランキングとおおよそ類似した順位になります。

 利便性があり機能的なコンパクトカー、維持費が安く済みコスパの良い軽自動車、汎用性の高いSUVなど、それぞれ特長は違いますが、上位10車種を総合的に見ると、人気が高いタイプとしては軽自動車・コンパクトカーが目立っています。

 国内市場の段でも記しましたが、消費者が中古車を選ぶ最大の購入理由は「費用面」です。それにプラスして、この数年コロナ禍で車に対する考え方や価値観が変化した事も背景にあると言えます。

 スタイリッシュなボディが人気のSUV車は、その名の通り汎用性が高く、タフモデルから軽SUVまで数多くの車種が発売されていますが、コロナ禍が起因となって3密が避けられる屋外レジャーが急伸した事でSUV車の可能性も伸びているのではないでしょうか。

【海外】

 日本の自動車メーカーが新車を輸出する場合、「輸出モデル」として左ハンドル仕様を輸出していますが、中古車の場合は殆どが右ハンドル(日本で走っていた時のまま)です。日本と同じ右ハンドル(左側通行)の国は少数派ですがそれでも多数輸出されています。

 下表は、右ハンドルの国と左ハンドルの国を一覧にしたものですが、左ハンドルが主流の国にも多数輸出されています。

右ハンドルの国イギリス・アイルランド・マルタ・キプロス・マカオ・香港・インドネシア・シンガポール・タイ・ブルネイ・マレーシア・東ティモール・オーストラリア・キリバス・クック諸島・ソロモン諸島・ツバル・ナウル・ニウエ・ニュージーランド・パプアニューギニア・フィジー・米領サモア・ガイアナ・スリナム・ウガンダ・エスワティニ・ケニア・ザンビア・ジンバブエ・セーシェル・タンザニア・ナミビア・ボツワナ・マラウイ・モザンピーク・モーリシャス・レソト・南アフリカ・インド・ネパール・バングラディシュ・パキスタン・ブータン・モルディブ・スリランカ
左ハンドルの国アンドラ・イタリア・オランダ・オーストリア・サンマリノ・ジブラルタル・スイス・スペイン・ドイツ・バチカン・フランス・ベルギー・ポルトガル・ポーランド・モナコ・リヒテンシュタイン・ルクセンブルク・モンゴル・中国・北朝鮮・台湾・韓国・カンボジア・フィリピン・ベトナム・ミャンマー・ラオス・アルバニア・アルメニア・ウクライナ・ギリシャ・クロアチア・ジョージア(グルジア)・スロバキア・スロベニア・セルビア・チェコ・トルコ・ハンガリー・ブルガリア・ベラルーシ・ボスニアヘルツェゴビナ・モルドバ・モンテネグロ・ルーマニア・ロシア・北マケドニア・アイスランド・エストニア・グリーンランド・スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・フィンランド・ラトビア・リトアニア・ウェーク島・グアム・サモア・トンガ・ニューカレドニア・バヌアツ・パラオ・フランス領ポリネシア・マーシャル諸島・ミクロネシア連邦・北マリアナ諸島・アメリカ・カナダ・サンピエール島・ミクロン島・アルゼンチン・アルバ・ウルグアイ・エクアドル・コロンビア・チリ・パラグアイ・フランス領ギアナ・ブラジル・ベネズエラ・ペルー・ボリビア・アメリカ領ヴァージン諸島・イギリス領ヴァージン諸島・キュラソー島・グアドループ・セントマーチン島・マルティニーク・アルジェリア・アンゴラ・エジプト・エチオピア・エリトリア・カメルーン・カーボベルデ・ガボン・ガンビア・ガーナ・ギニア・ギニアピサウ・コモロ・コンゴ共和国・コンゴ民主共和国・コートジボワール・サントメプリンシペ・シエラレオネ・ジブチ・スーダン・セネガル・ソマリア・チャド・チュニジア・トーゴ・ナイジェリア・ニジェール・ブルキナファソ・ブルンジ・ベナン・マダガスカル・マリ・モロッコ・モーリタニア・リビア・リベリア・ルワンダ・レユニオン・中央アフリカ・赤道ギニア・アゼルバイジャン・アフガニスタン・アラブ首長国連邦・イエメン・イスラエル・イラク・イラン・オマーン・カタール・クウェート・サウジアラビア・シリア・バーレーン・パレスチナ・ヨルダン・レバノン・ウズベキスタン・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・トルクメニスタン

 輸出と言っても、仕向け先によってニーズは様々です。例えば、アラブやイエメン等には、日本に輸入されたベンツやBMW等の左ハンドル車が多く輸出されています。ヨーロッパでは、スポーツカーやSUVが人気です。

 上の表の輸出国ランキングを見ると、10か国中3か国もアフリカ大陸の国が入っています。アフリカ大陸には54の国があり、日本の中古車のニーズは様々です。輸出ランキング上位に挙がっているタンザニア・ケニア・南アフリカ共和国、他にもナイジェリア・エジプト・モロッコ等は、都市化が進み、道路インフラも整ってきましたが、鉄道が発達していない為、自動車は欠かせない存在です。そしてアフリカ54か国の内、16か国は内陸地になります。日本では「海なし県」などと冗談の様に言われますが、国が海に面していないという事は、イコール港を持っていない事を意味します。他の国に間借りして(お金を払って)使わせてもらっている、または貿易していない、その上大陸内の物流インフラは脆弱となると経済発展も遅れる事になります。そういった国々と都市化の進んだ国々とでは一人当たりのGDPに大きな隔たりが生じますが、そのどちらにとっても不可欠なのが日本の中古車なのです。日本の中古車は「行って帰って来る事が出来る車」だからです。アフリカで人気の車種はランドクルーザーやハイラックスです。商用として人気のバン(プロボックスなど)や用途を選ばないハイエース、4人乗りの乗用車や小型バスなど車種は様々ですが頑丈で、トヨタであれば比較的、故障した時のスペア部品も手に入りやすい為、アフリカ諸国では重宝されます。逆に、輸入を制限している国もあります。自国の産業を保護する目的や右ハンドルはNGなど、理由は様々です。

 では、日本の中古車が重宝され、多く輸出されている背景や特徴、内情など、国ごと(輸出上位10国)にまとめます。「中古車輸出」という一つの単語の中には、様々なお国柄や事情が垣間見えるかもしれませんよ。

 背景・特徴・変化など人気車種・人気理由
ロシア・ソビエト時代から国産車の故障が多く、昔から輸入車が人気。「冬は国産車には乗らない」と言われる程。その理由は冬走行中に故障したら凍死するから。よって「寒くてもしっかり動いてくれる日本車」がロシア人が日本車を好きな理由。
・ウクライナへの軍事侵攻後、自国通貨ルーブルが下落。「世界的な不況が起こると資産を守るために車(金)を購入する」という国民性が顕在化。それに加え、日系を含めた殆どの外国自動車メーカーが生産を停止。これにより市場での自動車不足が発生。その結果「旧車スペックの新車」を生産するが、部品不足により、エアバッグ・ABS・排ガス浄化装置・オーティオ・エアコンが無い「新車」が登場。高いお金を出して旧スペック車を買う人は少なく、品質が保証された日本の中古車が人気に。これが現在日本からの輸出が増えている理由だが、ウクライナへの軍事侵攻後、民間人を予備兵として動員したり、また国外へ脱出する国民がいるなどして港湾業務に就くものが不足気味に。買い付けられた日本車が港にそのまま置かれている等している事から今後一時的に輸出量は減る事も考えられる。
・本来左ハンドルだが、右ハンドル車の通行OK
・ウラジオストクを起点に、中央アジアからロシア西部に向けて中古部品流通ハブとなっている。
2022年にロシアに輸入された中古車は日本製が最も多く、第1四半期には輸入中古車全体の86.6%、第2四半期は87.4%を占めている。
資産価値としてレクサスが人気。
1台600万円を超える車種は禁輸。ディーゼルエンジンやトラクターもNG。
トヨタのランドクルーザー、スバルのフォレスタなどSUVが人気。他には日産のノート、本田のフリートなど。
モスクワでは日本車のミニバンも人気。ノア&ヴォクシー、ステップワゴン、ウィッシュ、ストリームなど
U・A・E    (アラブ首長国連邦)・中古車の輸入にあたって、車種やモデル等に関する制限はないが、右ハンドル車の走行は認められていない。(中古車部品の輸入に関しては右ハンドルの規制なし)
・マーケットの特徴として ①UAE国内で乗られることは少数。
             ②UAEから更に再輸出
UAE 消費者向けに売買されている日本車のほとんどはGCC 仕様か欧州仕様モデル。日本からの中古車輸出ビジネスにおいて、UAE は他の中東諸国やアフリカ等への再輸出の拠点として概ね利用されている。近年では、中古車取扱量は減少傾向にあるが、これはインターネットの普及等により今までUAEから中古車を輸入してきた国々のバイヤーが、直接日本から輸入を 行い、UAE というハブ・経由地を通さずに調達する割合が増加して来ている事が要因である。だが依然として他の中東諸国やアフリカ等への中古車の輸出拠点となっている。
・日本から輸入される中古車の多くは、UAE 国内にある「フリーゾーン」と呼ばれる保税区に持ち込まれ、UAE から他の中東諸国やアフリカ等へ再輸出される。左側通行右ハンドルが主流のタンザニア、ケニア、ウガンダ、アフガニスタン、パキスタン等が主な輸出先。
※GCCとは、防衛・経済をはじめ、あらゆる分野において参加国間での調整・統合・連携を目的として、サウジアラビア・アラブ首長国連邦・バーレーン・クウェート・オマーン・カタールによって設立された国家間の連携体制です。
SUVが特に人気 トヨタのランドクルーザー(プラド)日産パトロールなど
日本に輸入されたベンツやBMWなど、左ハンドル車が多く輸出されている。
ニュージーランド・右ハンドル国であることや国内に自動車生産工場がないことが日本から見てUAEに次ぐ2番手の中古車輸出市場を形成している背景として挙げられる。NZでは日本車はジャパン・プレミアとしてその地位を確立しており、2018年のブランド別新車販売トップ10のうち、6ブランドが日本車である。
・主な交通手段が車の為、年平均3万~5万キロ走行する。よって乗り換えサイクルが早い。
・2018年、日本からの輸入車にクサギカメムシが混入していた(クサギカメムシ混入事件)事から、バイオセキュリティを強化。中古車輸入コスト増となった結果、相対的に新車のウェイト増に。
・左ハンドル車登録禁止
・自動車保有率世界第4位
・日本車は「ジャパンプレミア」と呼ばれ、 日本車メーカー、車検制度に裏付けされたアフターセールスのレベルの高さに好感がもたれている。品質の割には安価な価格が圧倒的シェアを獲得した理由。
・輸入の80%が日本車。右ハンドル国である事や、国内に自動車生産工場が無い事も日本車が選ばれる理由に。
・中国・韓国系(移民)にはトヨタのアルファードやヴェルファイアの人気が非常に高い。新型のエグゼクティブラウンジのモデルなど高級車もよく売れる。ボリュームゾーンは2005〜2009年式のコンパクトカー。中でもビビットなボディ色が人気。理由は「みんなと同じは嫌」「白だとスーパーの駐車場に車を停めると自分の車がわからなくなる」。
タンザニア・現地で日本人が「I am Japanese」と言うと「TOYOTA!」や「I love TOYOTA!ThankYou!」と返ってくるほど、車=日本製のイメージが定着。
・中古車の中には、会社名や団体名(○○幼稚園など)がそのままの車が多く走るが、日本語を消さずそのまま乗るのが現地ではクールなんだとか。
・タンザニア最大の港湾、ダルエスサラーム港が、同国の輸出入の93%を取り扱う。近隣内陸国であるザンビア、コンゴ民主主義共和国、ブルンジ、ルワンダ、マラウイ、ウガンダ等の貨物も取り扱う。
・右ハンドル
サファリツアーでTOYOTAのランドクルーザーが人気。
舗装されていない地域では、日本製の小型トラックエルフが人気(特に6HL1エンジンが人気)
ケニア・ケニアには年式規制があり、8年以上の車は課税対象となる。時には車本体より税金の方が高くなることも。理由はケニアに進出しているTOYOTAやフォルクスワーゲン車の国内工場の雇用を拡大したいとの政府の意向がある為。年式規制強化の動きもあり、今後7年落ちの中古車市場には影響が出る可能性もある。ケニア人は4WDやピックアップトラックなどが好き。他にも、プラド、RAV4、ハイラックス、ハリアーが人気。
乗合バス等に使用する為、ステーションワゴンやラクティスなどのコンパクトワゴン、マイクロバスに需要がある。
自動車がステイタスシンボルになっている為、小型車はケニアではあまり人気がない。
チリ・南米諸国は古くから日本人の移住者が多く、今でも日系人によるコミュニティが多い。その為車に限らず日本製を好む。
・チリ国内への中古車の輸出は原則禁止だが、国内にフリーゾーン(保税区域)を設けてそこでのみ輸入を認めている。北部のイキケ(Iquique)、南部のプンタ・アレナス(Punta Arenas)の2か所が内陸地へのゲートウェイとなって、中古車やパーツが再輸出されていく。再輸出は、ボリビア・パラグアイ・ペルーなど。チリで右ハンドルを左ハンドルに改造された後再輸出されるケースが多い。
・他国同様、コロナ禍の影響により新車の納車状況が良くない為、入荷待ちの新車よりも、すぐに入手が可能な中古車へとシフトし、中古車販売台数が大きく伸びている。
・南米ではとにかく価格重視。日本車が「丈夫さと安さ」を合わせ持っている事が人気の理由。
・チリから再輸出先となっているボリビア・パラグアイが1990~2000年代のトヨタ車を好む。ボリビアはガソリン車、パラグアイはディーゼル車を好む傾向がある。
・チリ国内では、2000年代後半のマツダ、スズキ、スバル車の需要が高い。
・ピックアップ車両が人気。
モンゴル・モンゴルではHV(ハイブリッド)とSUVの人気が高い。プリウスだけで全車種の20%を占める。ハイランダー、エスティマ、ハリアーを含めるとHVの割合は25%にもなる。
・最近では、HVから普通車へシフトする傾向がある。理由は今迄自動車特別税が免税になっていたHV車が課税対象になった為。
・日本車が売れる理由としては、ロシアと同じで冬は氷点下30度以下になる地域では、極寒の中でエンジンがかからないというトラブルは生死を分けるため、品質の高い日本車が一番安心して乗れる。
HV人気の理由は、モンゴルの都市部で深刻な大気汚染の問題が顕在化した為。またプリウスは、トヨタブランドであることに加え、燃費がよく寒い冬でもエンジンがかかりやすいとの好評価から、モンゴルの中古車市場でのトレンドになった。トヨタブランドが有名になったのはランドクルーザーに人気が高まった為。
マレーシア・原油高によりマレーシア国内は好景気だが、新車の納車遅れ等から中古車に人気が集まっている。マレーシアでの中古車販売は2通り。
①マレーシア国内で乗用された車の売却~再販。(中古車ディーラー)
②海外から輸入した中古車を販売する。(リコンカーReconditioned Carショールーム)
・マレーシアでのリコンカーの市場規模は、全中古車流通市場の10%程度だが、年式2~5年未満に限られマレーシアでは生産されないタイプの中古車がほとんど。中古車ディーラーで販売されている中古車よりも高級な車である事、高い関税を支払う事が出来る事等から、リコンカーの購入層はマレーシア国内の新車購入層よりも高所得層である。
・少し前まではマレーシアで有名な日系自動車メーカーはダイハツだったが今はほとんど走っていない。理由はダイハツがマレーシア国内の出資者や三井物産と共に出資して、㈱プロドゥア・オート・コーポレーション (Perodua)という自動車メーカーを設立。ダイハツの技術を基礎にマレーシアの国産車を製造するに至ったからである。㈱プロドゥア・オート・コーポレーションはダイハツの子会社となっています。
・クアラルンプールは、日本中古車部品のハブとなっており、日本から輸入された中古車部品の80%がマレーシアを経由して世界各国へ再輸出されている。
・マレーシアはASEANの中で最も自動車普及率が高い国。
トヨタのアルファード・ヴェルファイアなどミニバンが人気。その理由は、マレーシアは3世代(7~8人)家族が一般的である事と、ちょっとした距離でも車で移動する習慣が定着している為、7人乗りのミニバンは人気。乗い合いに利用される事もある。また自営が多く、自営業者は運転手を雇うのが一般的な為、後部座席がゆったりとしたアルファード・ヴェルファイアはビジネスシーンでも活用されている。
フィリピン自動車産業を育成する為、中古車の輸入を原則禁止している。2.5トン以上のトラックやバスなどは左ハンドルに限り輸入OK。フリーゾーン(自由貿易港=スービック港)に入港した右ハンドル中古車が左ハンドルに付け替えられて国内で流通。右ハンドル車は走行禁止。
上述したように、乗用車やSUV等は禁輸対象だが、「フィリンピン的解釈でSUVやワゴンはトラック類と解釈」して輸入される事もある。
コロナ禍、物流に欠かせないトラックの輸出が増加。
トヨタ・ヤリスの4ドア版となるヴィオスやハイエース(現地名コミューター)が人気。
いすゞの小型トラック「エルフ」も人気。20年前のエルフが現地では80~100万円。ハンドルが左になっても、右側になった助手席にアクセルのストッパーが残っていても、日本を走っていた頃の会社名等日本語はそのまま。「日本製である証」として現地の人は誇らしく思っているらしい。
南アフリカ・南アフリカ共和国では、商用・再販目的の中古車輸入は実質禁止(例外的に輸入が認められているものもある)。
2000年1月1日以降に製造された左ハンドル車、中古のバス、トラック、タクシー、中小型バスについては例外なく禁止。
・アフリカでビジネスを行う中国人・インド人などが日本車を購入している例もある。
商用車の需要が高い。トヨタのハイエースは用途を選ばないため人気。日本車の堅牢さ・使い勝手の良さが評価されており、10万キロぐらいの走行なら価格は大きく下がらない。特に、商用車や建機のニーズは高い。
暑いお国柄もあり、需要が高いのは白。舗装率がまだ20%程度の為車高が高く堅牢な車が人気。人気車種はハリアー、プラドなどのトヨタ車。スバルならフォレスター、レガシィなど。4WD車が人気。大勢が乗れるという点からイプサム、シャリオなどミニバンも人気。

 「中古車の輸出」と聞くと、その国で走っていると思われがちですが、実はまたその先に再輸出されている事がよくわかりますし、港を持つ事の重要性も見えてきます。

 各国への中古車の輸出量は変化していますが、その要因の一つにSNSの発達があります。SNSの普及はUAEなど今迄ハブとなっていた地域を介さず、直接日本と取引する事が可能になりました。

 日本でも中古車市場は大きく変化しています。一台一台違う中古車を買い手とマッチングさせる為のオートオークションが確立され、中には車両が会場に持ち込まれる事なく画像を利用した「画像オークション」という形態まで出現しました。他にもオートオークションには何種類かあり、またその他にも業販・下取り・買取り、ヤフオクやメルカリ等のWEBメディアを通じての出処等、ソースは様々です。インターネットを通じて中古車を買いたい海外のバイヤーもいれば、中古部品を求めて日本にやってくる海外バイヤーもいます。海外からの需要を見た時にある一定の車種に人気が集中しているのは明白ですが、それ以上に日本(車)=品質が高く安心。というイメージを確立させています。これは確固たる技術力が、世界と比べた時にトップレベルである事を意味します。この高い評価が、中古車や中古部品の人気を押し上げているのではないでしょうか。

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⑥ 買取り市場の地域性

 北海道に代表されるように、豪雪地帯は4WDが人気、とよく言われます。これ程、車のタイプと地域性がマッチングした例もなかなか少ないのではないでしょうか。北海道や東北の一部の様に厳冬で降雪量も多い地域では、人や車をその寒さから守らなければなりません。その為、バッテリーが大きい、不凍液の濃度割合を50%とする等、始動性を確保する仕様になっています。他にはフロントガラスのワイパーは通常の物より柔らかく、接触するところには凍結を防止するための電熱線が貼られていたり、ワイパーモーターも強化されています。ストップランプやテールランプは、雪が付着して後続車から見えなくなる事を防ぐ為に、照度の強いタイプを採用しているなど、最初からメーカーで寒冷地仕様(オプション)として販売されています。

 これら「寒冷地仕様」の車は近畿では走らせる事が出来ないのかと言うとそんなことは無く、普通に乗る事が可能です。ですが、「寒冷地仕様の車」は普通仕様車よりも高価なのが通常です。需要と供給を考えれば、寒冷地仕様の車は寒冷地で再販されるのが一番理にかなっているのではないでしょうか。

 他には、鹿児島仕様または火山灰仕様と呼ばれるオプションがありましたが、現在は技術の向上により生産されていません。

 沖縄や海に隣接した地域では、塩害から車を守る為に防錆加工を施しますが、これは北海道でも共通していて、融雪剤の塩化カリウムの影響を阻止するために防錆機能の高い塗料を塗布します。

 この様に気象条件によるご当地事情はある程度考えられますが、他に地域性が浮き彫りになる「何か」はあるのでしょうか?

 一般的には、その地域の最低賃金や物価等と関係していると言われています。首都圏の高級住宅地では一般的に高級車と呼ばれる車や、セダンタイプに需要がありますが、都心部では駐車場があっても高い為、軽自動車やコンパクトカーが人気です。ただ、人々を取りまく条件は様々です。居住地域の地域性だけにとどまらず、家族構成や生活スタイルの変化等、車は私たちの生活を映し出す鏡と言っても過言ではありません。「地域性」と言っても必ずしも○○だ、と言いきる事は難しいかも知れません。最初に例に出した北海道を「北海道として一括り」にして地域性を語れるかと言えばなかなか難しく、整合性がとれない部分も出てくるのではないでしょうか。では、実際に私たちの周りにある身近なデータを基に、どの様な地域性があるのか北海道を例にとって見てみたいと思います。

 まずは各都道府県の最低賃金から見てみましょう。最低賃金を降順に並べました。

  都道府県名最低賃金時間額
【円】
東  京1072
神奈川1071
大 阪1023
埼 玉987
愛 知986
千 葉984
京 都968
兵 庫960
静 岡944
三 重933
広 島930
滋 賀927
北海道920
栃 木913
茨 城911
岐 阜910
富 山908
長  野908
福 岡900
山 梨898
奈 良896
群 馬895
岡 山892
石 川891
新 潟890
和歌山889
福 井888
山 口888
宮 城883
香 川878
福 島858
島 根857
徳 島855
岩 手854
山 形854
鳥 取854
大 分854
青 森853
秋 田853
愛 媛853
高 知853
佐 賀853
長 崎853
熊 本853
宮 崎853
鹿児島853
沖 縄853
全国加重平均額961
厚生労働省 「令和4年度地域別最低賃金改定状況」参照

 時給(平均)が一番いいのはやはり東京で、東京圏と呼ばれる地域(東京・神奈川・千葉・埼玉)が上位に位置しているのがわかります。他は大都市(大阪や愛知、京都等)が入ります。北海道は13位に位置しています。

 では次に、収入と可処分所得(給与から社会保険料や税金を差し引いた手取り収入の事)はどうでしょうか?

上記は賃金の一覧であって、年収(賃金に時間外労働や手当。ボーナスを加えた数字)とは異なります。なお、全国平均は307.7千円の為、全国平均より賃金が高かったのは、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府の5都府県になります。また、東京都が突出して高い事が伺えます。

上の表を見てわかる通り、手取り№1は富山県、№2は三重県、№3は山形県(いずれも中央値)という事になります。可処分所得から更に基礎支出(食料費+家賃(持ち家の場合は帰属家賃)+光熱水道費)を差し引くと、東京都は42位にまで下落します。東京圏は時給が高く、賃金も上位であるが、その地域性故に家賃をはじめとした生活にお金がかかり、結果として「使えるお金」は他の県に比べて少なくなる事が見て取れます。

ここまでのデータは都道府県別の「身近なお金」の面から見た数字ばかりです。平均値または中央値がわかっても、これで買取り市場の地域性を見て取れるかと言うと、まだちょっと見えてきません。ただ、一つ可処分所得の順位と相関性が見えるものがあります。それは「自家用乗用車の世帯当たりの普及台数」です。車を保有するという事は、維持費がかかります。可処分所得に占める車関係費用の割合が大きくなるという事は、普通に考えて、使えるお金(可処分所得)と車の保有台数には相関関係があると考えるのが自然と思われます。そこで、可処分所得の順位と車の保有台数の順位を並べてみたいと思います。

 可処分所得上位5県については、車の保有台数でも上位にあるのがわかります。三重県が少し離れているだけでそれ以外はほぼほぼスライドしています。下位5位については少しブレがありますが、それでも25位以下に集まっています。東京都に関しては車の保有台数最下位になりますが、先にも述べた様に、可処分所得について下位にある事、地代(ガレージ代)が高い事、公共の交通機関が発達している事等から、車を保有せずカーシェアを利用する等している事が伺えます。

 上位下位以外の都道府県についても、大きく離れているのは奈良県や群馬県など10県ほどに留まっています。

 上位の県をご覧になった時に「田舎だから車が必要なんでしょ」と思われましたか?「移動距離が長く公共の交通機関も限られているから、一家に複数台の車が必要なんでしょ」と。

 では、上の表をご覧になった時に、北海道の順位が下部にある事にお気付きでしょうか?可処分所得に関しては37位、車の保有台数については40位。車の保有率は「1」を切っています。

 ではここにもう一つデータを足してみたいと思います。都道府県別の人口集中地区(DID)です。

 人口集中地区とは、狭義の都市としての市街区の規模を表したもので、統計上の地区ではありますが、都市的地域と農村的地域の区分けの指標として国勢調査で使用されています。市区町村の区域内で人口密度が1平方キロメートルあたり4000人以上の単位区が互いに隣接して人口が5000人以上いる地区に設定されています。ただし、空港・港湾・工業地帯・公園など人口密度が低くても都市的傾向の強い単位区については人口集中地区に含まれます。

 北海道をDIDで見てみると、

 人口密度は47位の北海道が、人口集中地区(DID)としては8位という事は、北海道の人々は広大な大地、牧場や畑にポツーンポツーンと存在しているのではなく、札幌等の都市部に集中して住んでいる事が伺えます。

 札幌の200万人をトップに旭川や函館など人口集中地区では、交通機関の利便性も良く、車の保有率は東京並みに低位にあります。ですが、札幌は東京より広く(東京の約2倍)、冬は寒さも移動も厳しい為、いくら札幌が都会で公共の交通機関が発達しているとは言っても、車の必要性は断然高くなります。雪国の大衆車と言われるスズキジムニー、他にもハスラー、パジェロミニなどの4WD,FFでも雪道に強く横滑り防止機能(VSA)が付いていて普段使いから雪道までお任せのN-BOX(4WDもあります)など軽自動車やコンパクトカーが人気の上位にきます。

 逆に、所得(可処分所得)が低くても、公共の交通機関の利便性の低さ等が理由になって、車を保有せざるを得ないというケースも考えられます。車が生活必需品という位置付けになる為です。

 使えるお金、世帯当たりの車の普及率、DID(人口比率)値、等を総合的にまとめたデータがあります。

土木学会第64回年次学術講演会
「世帯の家計に着目した自動車保有動向の変化に関する考察」より
参照 http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/2009/64-04/64-04-0167.pdf

 上記の表は、「年間収入階級別保有状況とDID人口比率の関係」を一覧にしたものです。表内の数字は車の台数を表しています。所得=車の保有率であるならば、もう少し車の保有数が乖離してもおかしくないはずですが、実際はそこまで乖離しておらず、DID値が低い地域においては、車が生活の必需品となっている事が伺えます。

 様々なデータを並べてみて、はじめてわかる事が多くあります。今回は北海道を例に挙げましたが、「北海道」として一括りにすると整合性に欠けます。自家用車(中古車)の地域性は、所得の他にDID値とその地域の公共の交通機関の発達や利便性の度合い等から、総合的に見る必要があります。ちなみに、特種・特殊車両登録ダントツ1位は、北海道です。説明のいらない納得の順位です。

 中古車の買取り市場には「全国」にネットワークを持つ企業も存在します。ですが、大小含めて中古車販売会社がコンビニより数多く存在するその理由は、その地域に根差した独自性が目には見えない形で存在するからではないでしょうか?逆を言えば、中古車販売会社で売られている車種を見る事で地域性が見える様に思います。

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■ 車の買取り査定について Vol.1[下取りと買取りの違い、車買取りの仕組み、買取り市場の動向・規模]

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