【NV350キャラバンの乗車定員変更による構造変更登録】14人から10人へ・2ナンバーから3ナンバーへ
日産キャラバンは、車内スペースが広く、仕事にプライベートにと人気の車種です。燃費も良く、安全性能も先進技術が搭載されています。今回お預かりしたお車は、名称がNV350に変更になった5代目キャラバンのマイクロバスになります。
メーカー | 日産 |
車種 | NV350 キャラバン |
グレード | GX スーパーロングボディ ワイドハイルーフ |
型式 | LDF-DW4E26 |
年式・初年度登録 | 2020年度 |
ハイエースやアルファードに次いでお問い合わせが多いのが、キャラバンの構造変更です。キャラバンはハイエースとよく比較される車種ですが、ハイエースもキャラバンも銘銘に強みを持った車です。世界的にも人気が高く、頑丈で長寿命なイメージのハイエース。カスタムパーツが多いのも特徴の一つです。シートアレンジはそれぞれに個性を有しますが、キャラバンはモデルチェンジして良くなったというお声を耳にします。積載量でもキャラバンが優勢でしょうか。
今回は、そんなキャラバンを更に便利に、そして魅力ある車にする為に門真の整備士が構造変更に取り組みましたので、以下にまとめたいと思います。
●14人乗り(乗合乗用)から10人乗り(乗用自動車)への用途変更
ビジネスシーンで活躍しているキャラバンですが、マイクロバス=乗車定員が11人以上になる為、運転するには中型免許(8t限定解除)もしくは大型免許が必要になります。
2ナンバー = 「普通乗合乗用車」になります。 バスやマイクロバスの様に人の輸送に使用される、乗車定員11人以上の普通自動車を指します。 乗車定員変更の構造変更をするという事は・・・ マイクロバス(乗合乗用) → ワゴン(乗用自動車)への用途変更 2ナンバー → 3ナンバーへの登録構造変更 【メリット】 ・普通免許で運転出来る。 ・荷室が広がる。 ・2回目以降の車検が、1年に1回から2年に1回になる。 |
今回は普通免許でも運転出来る様にと、14人乗りから10人乗りに乗車定員変更する事になりました。構造変更する事でドライバーも容易に確保する事が出来ます。作業は、最後列の4席を取り外して10席にします。
最後列の4席を取り外す事で、荷物を今まで以上に乗せる事が可能になります。
座席を外す作業は、門真の整備士にとっては慣れた作業ですが、単純に座席を取り外して終わりという訳では無く、安全基準を満たす為の作業も同時に進めていきます。マイクロバスからワゴン車になった事で発生する安全基準については以下に起筆したいと思います。
●座席を取り除いた事で発生する安全基準
座席を取り外した事で、乗合乗用(マイクロバス)から乗用自動車(ワゴン)に用途変更が行われた事になります。以下が乗用自動車の安全基準になります。
【乗用自動車の安全基準の内容】 1.排ガス測定の技術基準 「保安基準第31条」 2.衝撃吸収式舵取り装置の技術基準 「保安基準第11条第2項」 3.施錠装置の技術基準 「保安基準第11条の2第2項関係」 4.乗用車の制動装置の技術基準 「保安基準第12条第2項関係」 5.アンチロックブレーキシステムの技術基準「保安基準第12条第1項」 6.衝突時における燃料漏れ防止の技術基準 「保安基準第15条関係」 7.前面衝突の乗員保護の技術基準 「保安基準第18条第2項関係」 8.側面衝突時の乗員保護の技術基準 「保安基準第18条第3項関係」 9.装材料の難燃性の技術基準 「保安基準第20条第4項関係」 10.インストルメントパネルの衝撃吸収の技術基準 「保安基準第20条第5項関係」 11.座席及び座席取付け装置の技術基準 「保安基準第20条第6項関係」 12.シートバック後面の衝撃吸収の技術基準 「保安基準第22条第7項関係」 13.頭部後傾抑止装置の技術基準 「保安基準第22条第4項関係」 14.座席ベルト取付け装置の技術基準 「保安基準第22条の3第2項関係」 15.運転者席の座席ベルトの非装着時警報装置の技術基準 「保安基準第22条の3第4項関係」 16.外装の技術基準等 「保安基準第18条第1項第3号関係」 |
特に留意が必要なのが、シートベルトです。
●構造変更の手続き
構造等変更検査の手続きは2段階になっていて、「書類審査」と「実車検査」があります。定員変更に伴う構造変更には事前審査が必要なケースと不要なケースが有りますが、2ナンバーから3ナンバーへの変更は書類審査が必要なケースになります。
事前審査が必要 | 2ナンバー ⇒ 3ナンバー 4ナンバー ⇒ 3ナンバー |
事前審査が不要 | 3ナンバー ⇒ 8ナンバー 1ナンバー ⇒ 8ナンバー 4ナンバー ⇒ 1ナンバー |
書類審査・・・必要書類を事前に準備して運輸支局に提出します。 実車検査・・・書類審査に合格したら、車を車検場に持ち込んで検査を受けます。 |
①書類審査(構造等変更の手続きに必要な書類の準備)
実施する構造変更によって準備する書類が異なりますので、十分な確認が必要です。一つでも不足していると出直す事になりますし、審査は厳しく実施されている為、必要書類の項目は細部まで目を通して記入する必要が有ります
【必要な書類】
・新規検査等届出書 ・車検証 ・自動車検査票 ・点検整備記録簿 ・自動車損害賠償責任(自賠責)保険証明書 ・納税証明書 ・自動車重量税納付書 ・手数料納付書 ・使用者の委任状(認印押印) 委任事項(自動車検査証記入・構造等変更検査) ・所有者の委任状 構造等変更検査に伴い、型式、車台番号又は原動機の型式を変更する場合 委任事項(変更登録) ・申請書 |
上記の書類にプラスして、構造変更には何種類もの添付資料が必要になります。書類の量(種類)はかなり膨大です。
その他の書類 ・強度証明書 ・パーツリスト(パーツの車検対応証明書等を用意しておくとスムーズに進める事が出来ます。) ・改造自動車等届出書 ・改造等概要説明書 ・改造箇所の添付書類 |
これらの書類が準備出来たら、陸運支局・自動車検査登録事務所で手続きを進めます。尚、手続きには手数料が必要になります。
・構造変更検査手数料 2100円(小型車以外) ・乗用車継続検査手数料 1800円(小型自動車以外) |
②実車検査
書類審査に合格すると「書類審査決裁終了」の連絡があります。 通知書が届く迄には1週間~10日を要しますので、お急ぎの方は早めにご相談下さい。
実車検査は、最初に
検査用印紙を購入→手数料納付書に貼り付けます。 ↓ 重量税は整備振興会で納付→重量税納付書に印紙を貼り付ける。 ↓ 検査に必要な書類を運輸支局庁舎の窓口に提出(内容の確認をしてもらう)。 ↓ 予約の確認を行い、提出した書類を全て受け取ってから検査ラインへ。 |
無事に終了して、検査に合格すると、重量税を納付して変更登録申請、旧ナンバープレートの返却をして完了になります。新たな車検証には「改」の文字が追加されて、構造変更が無事に終了した事が公になります。
新しいナンバープレートを装着して、標章ステッカーを貼り換えます。任意保険の契約先に新しいナンバーを連絡して、ETCの再セットアップをして構造変更達成です!
【2ナンバーから3ナンバーへの構造変更の流れ】
1.ベース車両の準備 ↓ 2.お客様のご要望に合わせて計画を立てる。 ↓ 3.書類の準備 ↓ 4.構造変更検査の事前書面審査 ↓ 5.構造変更検査の実車検査の予約 ↓ 6.実車検査 ↓ 7.合格したら構造変更完了 |
●まとめ
構造変更は、何らかの必要性があって行われますが、そのままでは車検には通りません。その為に構造変更の申請の手続きを行うのですが、「構造変更検査」は通常の車検より厳しく行われます。
また構造変更検査は国(国土交通省)が定める保安基準を満たしている事を証明する為の検査ですので、構造変更検査を受けずに公道を走る事は違法に当たります。
技術的な面に関してはプロ(整備士)で無ければかなり困難ですし、何でも有りではありません。なぜなら車の構造を変えるという事は、乗員の安全に直結する事だからです。それだけに決まり事も多く、書類も膨大にならざるを得ないのです。だからこそ、構造変更後のお車がお客様の元にスムーズに届く様に、書類の準備からお手続きまでお手伝い致します。
弊社は構造変更のお問い合わせをたくさん頂戴しておりますし、実際に何台もの車を手掛けて参りました。構造変更と一言で言っても、お客様からのご依頼は様々です。ある時は乗車定員の変更、ある時はオーバーフェンダーの取付け、またある時はキャンピングカーへの変更に、福祉車両に関する事迄、本当に多種多様です。東伸自動車は、これら全てのご要望にお応えすべく、お客様の思い描くプランを共有し、具体的な形に致します。
またどんなご相談もお気軽にお問い合わせ下さい。構造変更には、メリットがたくさんありますが、デメリットも存在します。構造変更を正しくご理解頂き、正しく構造変更をする。そしてお車を存分に活躍させてあげましょう。東伸自動車は、車が生き生きとそしてその能力を発揮するお手伝いを致します。
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