【HONDAホンダ CB400SF HYPER VTEC SPECⅢ】偏光板の劣化で液晶パネルに歪みが!!表示が見えない!!門真の整備士がメーターを修理、復活させるまで!!

 今回お客様からお預かりバイクは、HONDAホンダのCB400です。初代モデルは1992年に発売が開始され、1999年には「Hyper VTEC」エンジンが搭載されるようになりました。高音が綺麗なVTECエンジンですが、今回お預かりしたHYPER VTEC SPECIIIエンジンを搭載したモデルは2003年12月に発売されています。

 デザインは、中型ネイキッドロードスポーツバイクの代名詞であるCB400 SUPER FOURを継承しながらも、よりシャープになり、ライダーや同乗者の快適性も向上されています。心臓には、水冷・4ストローク・DOHC・直列・4気筒・400cc HYPER VTEC SPECIIIエンジンが搭載され、「エキサイティングでCB感動の400」というコンセプトの下誕生しました。スムーズで力強いCB400 SUPER FOUR HYPER VTEC SPECIIIは多くの人に愛されている名機と言えます。

●お預かりしたお車

メーカー・ブランドHONDAホンダ
CB400 SUPER FOUR
 HYPER VTEC SPECⅢ(NC39)
型式(エンジン型式)BC-NC39
年式・初年度登録 
走行距離215497㎞

 CB400 SUPER FOUR HYPER VTEC SPECIIIのスタンダードカラー“キャンディタヒチアンブルー”がとても綺麗です。SPECⅢになってタンデムバーが装着されたり、テールがシャープになるなど、見た目も大きく変わりました。

故障の症状

 メーター内の液晶構造の表面が、経年劣化により周囲(縁)が浮いて、波打ち剥がれてしまっている。こうなると液晶構造が機能せず、表示がちゃんと見えません。

故障箇所の特定と診断

 液晶構造(偏光板)の劣化によりメーターが見えづらくなり、読み取りにくい状態。他にも不具合等が無いか確認をさせて頂き、液晶構造(偏光板)の補修で十分対応可能と判断致しました。CB400の純正メーターASSYになると、定価〇万円になりますので、液晶構造(偏光板)の手当てだけで済んで本当に良かったです。

●故障修理の内容と費用

作業内容・部品等工賃部品代
メーターフィルム貼替(2箇所)12,000円4,000円 
針分解及び基盤脱着工賃4,000円
合計16,000円4,000円
消費税1,600円400円
総計22,000円

 多方向から入って来る光を、特定の光だけを通過させる、また多方向に振動する光を遮断したりして光をコントロールしているのが偏光板です。下図でもお解り頂けるかと思いますが、液晶構造は偏光板が一番外側(ガラス基板の外側)に貼り付けられています。この偏光板の偏光方向をどの様に組み合わせるかで、光の透過量をコントロールする事が出来ます。逆に偏光板が無いと、ディスプレイ表面は真っ白でただ光を発しているだけになり文字や画像を認識する事ができません。バイクメーターに限らず、普段何気に使用しているスマートフォンもテレビも同じ技術が用いられています。液晶構造に偏光板は無くてはならないものになります。

【偏光板 おもしろ豆知識】
偏光レンズを採用したサングラスをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。太陽がギラギラと照り付ける様な日には無くてはならないお役立ちアイテムです。偏光レンズを採用しているサングラスは、乱反射するノイズや、眩しすぎる照り返しをカットしてくれます。
ではこのサングラスをかけてスマホを見るとどうなるでしょう?スマホを、ゆ~っくり回転させてみて下さい。画面が途中で消えて見えなくなりますよ。
ここで注意点も追加!!角度によっては、カーナビの画面や計器(液晶タイプ)、信号(偏光式信号機)が見づらくなる瞬間があるかも知れませんので、ご注意下さい。偏光フィルムが干渉しあう事による現象ですが、時には真っ暗になってしまう事もありますので、安全運転の為にも注意が必要です。

 修理は、この液晶構造の部分の偏光フィルムの交換になります。一旦ヘッドライトを降ろして、その後にステーからメーターを外します。余談ですが、門真の整備士は、シンプルな丸形ヘッドライトとメーターAssyが、ネイキッドタイプのCB400に合ってるなぁ~と感じます。またまた余談ですが、中期のVersionRはヘッドライトが角型なんです。当時は「へ~~」って感じでしたが、製造されたのも1年だけなので、もしかしたらお宝かも⁉CBオーナーズミーティングにでも行ったら拝見できるでしょうが、街中でVersionRを見かける事はほぼ無いですね。

 さて、お預かりしたバイクの状況はこんな感じです。液晶部だいぶ痛んでいます。

 アナログメーターなので、針の取り扱いにも注意を払い、偏光板の補修に入ります。上の写真がビフォアアフターになります。

 綺麗に表示される様になりました。液晶パネル復活です!きちんと表示される事を確認したら、クリーニングにをして今度は外した時と逆の順序で取り付けていきます。

修理後の様子

 元のパーツ(部品)はそのままに、悪いところ(液晶構造)だけ修理をさせていただきました。2022年10月に生産が終了するまで、約30年間に亘って、多くの人を魅了した名機なだけあって、無意識の内にカッコよさが蘇った様な気がします。

 お客様に、お修理の内容についてご説明をさせていただき、修復後の姿もご確認頂きました。メーターの表示はもちろん回復しましたので、これからは快適にツーリングして頂けます。ご納車の際喜んで頂けて本当に良かったです。

 今回のオーナー様も大阪府外からお越しいただきました。遠方からわざわざお越し下さり本当にありがとうございます。一旦バイクをお預かりし、修理後にお引取りにご来店いただきましたが、バイクに跨られるオーナー様を拝見していると、何だかバイク(CB400)も嬉しそうにしている様に見えるのは、門真の整備の気のせいでしょうか(^^)

まとめ

 バイクは車とはまた違った便利さがあります。取り回しが良く(小回りがきき)、狭い道でもかス~イスイ!!購入費用や維持費(保険や駐車料金等)が車に比べるとダントツお得なのもメリットです。ただそれ以上に爽快で、運転自体の楽しさも車とは違った良さがあります。

 CB400の様に、液晶が一部で他はアナログメーターと言うバイクもありますが、多くのバイクは、速度計、回転計、そして時計に、走行距離が液晶に表示されます。それだけ、メーターパネルは多くの役割を果たしています。今回は偏光フィルムを交換する必要がありましたが、交換する事で利便性と視認性がアップしました。その結果安全性も向上しました。見えづらい液晶パネルは決して良いとは言えません。

 純正部品では高額になるし、かといって代替部品は出来るだけ使わないで…と思うライダーの方もいらっしゃると思います。お客様が愛機を大切にされメンテナンスされるのとはまた別の目線“整備士目線“からお客様のバイクを拝見させて頂いております。

 時には、足廻りの汚れが気になる事もあります。サイドスタンドやタンデムステップが気になる事もあります。明らかにBadな部分があれば(気づけば)お預かりした際にお話しさせていただきますが、普段から出来るメンテナンスもありますので是非ご参考になさって下さい。メンテナンスにも難易度があります。整備士でないと手当てが難しいものから、オーナーが日々行える事迄、難易度は様々です。しかしオーナー様が日々バイクの様子を見て、その変化に気づかれる事がバイクにとっての最善策です。バイクも車も乗り手(オーナー)の乗り方やクセによって、状態が様々に変わってきます。たまにしか乗らないと言う人も、毎日愛用していると言う人も、メンテナンスが大切な事に違いはありません。千里の道も一歩から!最初は時間がかかったり、戸惑う事も有るかと思いますが、何度かやるうちに手際よく作業出来る様になります。そして自分のバイクにとっての「ベストコンディション」を知る様にしましょう。

 以下に難易度の低いバイクメンテナンスをいくつか起筆致します。

洗車洗車はトラブルを事前に予防できるというメリットがありますので、立派なメンテナンスの一つです。この点においては車もバイクも同じです。特にバイクは汚れを落とすことで、パーツの傷みや破損に気づく事が出来ます。
稼働部のグリスアップ稼働部(サイドスタンドやタンデムステップ、ブレーキレバーやクラッチレバーなど)はグリスが切れると動作が重くなるので、グリスアップしてあげましょう。そうする事で常に良好な状態に保つことができます。
灯火装置(ライト)・指示器の作動チェックヘッドライト・テールライト・ハイビーム・ブレーキランプにプラスして、左右のウインカー・ハザード等を目視で確認します。
タイヤの空気圧・亀裂・損傷・異常摩耗・溝の深さチェックタイヤの空気圧は、定期的にチェックしましょう(例えば1ヶ月に1回と言う具合で)。空気圧を測るエアゲージと空気入れがあれば、誰でも容易にチェックする事が出来ます。規定空気圧はスイングアーム付近に貼ってありますので、規定値に比べて測定値にズレがないか確認しましょう。
ブレーキパッドの残量チェックブレーキパッドの残量が減っていると、異音がしたりブレーキの効きが悪くなります。ブレーキは命を守る重要なパーツですので、パッドの残量は目視でチェック出来ますのでしっかりチェックしましょう。
チェーンの清掃・調整・注油(チェーン駆動のバイクの場合)走行すればチェーンが汚れるのは当たり前ですし、2万km前後で交換が必要になるパーツです。定期的に清掃をして(出来れば汚れが目立ってくる前に)、注油をする事で寿命を伸ばすことが出来ます。
ブレーキ・レバーの遊び調整、効き具合ブレーキレバーとクラッチレバーには、握った時の抵抗感(遊び)が設定されています。ここを調整する事で、乗りやすさやコントロール性(操作性)が変わってきますので、適宜遊びを調整する様にしましょう。
バッテリーのチェック(充電・交換)=エンジンの掛かり具合バッテリーが弱っていると、最悪エンジンが始動しないと言う事も起こり得ます。特に冬場はバッテリートラブルが多いので、使用前にあらかじめチェックしたり、充電しておく事が有益です。充電してもセルモーターが勢いよく回らない時や、すぐにバッテリーが上がってしまう場合は、バッテリー本体が劣化している可能性がありますので、新品に交換することをおススメします。
エンジンオイルのチェックと交換エンジンオイルはバイク(車)にとって血液であり、エンジン全体のコンディションに大きな影響を及ぼす存在です。走行距離3000~5000㎞を目安に交換しますが(車種によっても異なります)、交換が遅れてエンジンオイルが減っていたり、汚れた状態が続くと最悪エンジンが焼き付けをおこします。こうなると、高額な修理費用を支払うか、乗り換え(廃車)するしかなくなります。
まずは定期的にエンジンオイルの量と汚れをチェックする様にしましょう。目減りしている場合や、汚れている場合は交換が必要になりますが、自信がない人はショップに持って行けば作業してくれます。

 他にもフィルター交換 、点火プラグ交換、ブレーキシュー(ブレーキパッド)の交換 、エアクリーナーの点検清掃や交換等、バイクのメンテナンスにも幾つも種類が有りますので、お心に留め置きいただけたらと思います。

 最初からそんなにたくさんは・・・と仰る方は「ブタと燃料」と覚えて下さい。

 →→ ブレーキ(効きが悪くないか、フルードの量は適切か)
 →→ タイヤ(空気圧や溝、亀裂の有無などをチェック)
 →→ 灯火類(前照灯、ウインカーがちゃんと点くか)
燃料 → 燃料(ガソリンの残量や漏れのチェック)

 より安全で快適なバイクライフをお過ごし頂く為にも、お車(バイク)の事で、不安や心配な事がございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

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