キャンピングカー《MAMBOWマンボウ》SKP2L 割れたルーフの修理に門真の整備士が奮闘!FRPボディの破損は修復可能?FRPボディシェルの補修修理

今回お客様からお預かりしたのはキャンピングカーの「マンボウ」です。マツダのボンゴをベース車にしたお車で、コンパクトながら大容量のコンパクトキャブコンです。高さ以外はミニバンサイズ(アルファード等)なので、取り回しも楽で運転しやすいキャンピングカーになります。
この高さ以外は・・・というところがネックで、今回お客様から屋根を破損したので修復して欲しいとのご依頼で入庫いたしましたのでまとめたいと思います。
●お預かりしたお車
メーカー・ブランド | ロータスRV マンボウ(マンボウ) |
ベース車両 | マツダ ボンゴ |
型式 | ABF-SKP2L |
エンジン | L8 ガソリン |
年式・初年度登録 | 2011年 |
●FRPボディとは
FRPとはFiber Reinforced Plasticsの略で、訳すと繊維強化プラスチックになります。
Fiber=繊維
Reinforced=強化した
Plastics=プラスチック
「軽くて丈夫!」という長所があることから、FRPは以前からエアロパーツなどに使用されています。ランボルギーニやレクサスLFA、BMWのi3などにはCFRPパーツが採用されています。一般的な乗用車(大衆車)にも一部のパーツとして採用されているケースも有ります。
車(乗用車)のボディにFRPを採用している車種もあります。知名度が高いのはシボレーのコルベットやロータスのエリート、ミツオカのオロチ、可愛い車では富士自動車のフジキャビン(製造期間2年生産台数85台の幻の車です)等が存在します。今ではキャンピングカーの外装(居住スペース)の大半に使用される様になったこともあり、FRPボディと呼ばれています。
FRPと一般的なプラスチックとの大きな違いは、何と言っても繊維が含まれていることです。繊維が含まれると強度が大幅に増す(鉄より10倍強い)ことにプラスして軽量化(鉄より約1/4軽い)に役立ちますので、キャンピングカーの架装部(居住スペース)には最適の素材です。どんな繊維が含まれるかによっても特色が変わってきますので、一部を以下に紹介致します。
GFRP( Glass Fiber Reinforced Plastics) ガラス繊維強化プラスチックまたは ガラス繊維強化樹脂 | FRPの中では最も一般的な素材。比較的安価での入手が可能な為広く普及しています。ガラス繊維をポリエステル樹脂・ビニルエステル樹脂・エポキシ樹脂・フェノール樹脂等で固めたものでコストと性能のバランスが良い。 新幹線や電車の車両内外装材から船舶、スポーツ用品電子機器等に多く使用されています。車では内外装以外にバンパー・ドアパネル・ボンネット等にも使用されています。 絶縁性・耐候性・耐衝撃性に優れています。 |
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics) 炭素繊維強化プラスチック | 炭素繊維とプラスチック樹脂を組み合わせた材料で、金属(鉄やアルミ)と同等の強度・剛性がありながら、GFRPよりも軽い特長を持っています。それだけにGFRPよりも高価。スポーツ・レジャー用品から航空機の機体・船舶や宇宙まで幅広い分野で利用されています。独特な高級感があり人気です。GFRPは絶縁材料であるのに対してCFRPは導通材料になる。 高強度・高剛性・超軽量に優れています。 |
AFRP(Aramid Fiber Reinforced Plastics) アラミド繊維強化プラスチック | アラミド繊維とプラスチック樹脂を組み合わせた材料です。アラミド繊維は、引張強さ、強靱性、耐熱性に優れており、プラスチック樹脂と組み合わせる事で強度や耐久性、耐衝撃性に優れた製品を作る事が出来ます。 防弾ヘルメット・防弾ベスト・軍事車両の装甲部・宇宙船の部品・スポーツ用品等に使用されています。 自動車では内装パーツ・ドアパネル等に使用されています。 衝撃吸収性・対切創性にも優れています。 |
上表に代表的な繊維強化プラスチックを紹介しましたが、他にもZFRP(ザイロン繊維強化プラスチック=Zylon Fiber Reinforced Plastics)やBFRP(ボロン繊維強化プラスチック=Boron Fiber Reinforced Plastics)等もあります。

●キャンピングカーにFRPを使用する理由
FRPはキャンピングカーの主要部分を構成していますが、キャンピングカーの架装部にFRPを使用する一番の理由は「軽量化」です。一般的なFRP材は同じ大きさの鉄に比べて約1/4,アルミニウムに比べて約1/7という軽さです。軽量化する事で燃費が向上しますし、荷物をたくさん積むことが出来ます。

またFRPは施工の為の切断や穴あけ等の加工がしやすいという特徴があります。また切断・穴あけのみならず二次加工が割合容易なことから、パーツ同士を接合したり、表面の凹みをパテ埋め塗装する等、キャンピングカーをDIYする人にも人気です。
またFRPは接着強度が大変強いため、FRP同士を接合した場合継ぎ目がないデザインにすることが可能です。
●FRPの劣化・弱点
「軽くて丈夫」そんなFRPですが劣化します。屋外使用にも強い面を持ち合わせていますが、紫外線によって樹脂中の分子が分解されることで劣化が始まります。他にも温度湿度の変化、酸性雨や化学物質などの影響もあり、年々劣化していきます。
劣化が進むと架装部の構造自体が傷み、ひび割れや変色を起こします。粉を吹いたような状態になることもあります。強度や見た目(外見)に影響が及ぶのは勿論のこと、そこに更に紫外線などの外的要因が追い打ちをかける悪循環になってしまいます。その為損傷に気づいた時は出来るだけ早く補修する事をおススメいたします。そうする事で損傷が大きくなるのを防ぎ、しいては大きな出費になるのを抑えることが出来ます。
根本的な違いとして、乗用車等の一般的な車はボディに①下塗り層②中塗り層③ベース層④クリア層⑤コーティング層とあり、紫外線や汚れなど外気要因から守られています。それに対してキャンピングカーの架装部は、外装(FRP製品)作成時に流し込むゲルコート(ジェル状の樹脂)のみになります。もちろんこの上にコーティング層を乗せることも可能ですが、一般的にはゲルコート層を磨き塗装したかの様な仕上げにしています。
乗用車は5層で守られていて、キャンピングカーはゲルコートのみの1層と聞かされると、まるでキャンピングカーが大雑把に作られている様に感じますが、決してそうではありません。ゲルコートのメリットは何と言ってもその厚みです。乗用車の塗装は5層と言っても一つ一つはどうしても数ミクロンです。それに対してゲルコートは厚く硬いため、少々何かが擦れても自動車の様な傷がつくことはありません。キズが付いたとしてもコンパウンドで磨けば手直しすることが可能です。それ故にアウトドアに向く表面処理と言えます。逆にデメリットはこの強度にあります。ちょっとやそっとじゃ傷のつかないFRPボディは、非常に硬い素材です。そのため一定以上の力(衝撃)が加わると、衝撃吸収されず割れてしまいます。

●キャンピングカーの損傷と補修
今回お預かりしたマンボウは、大きな傷がルーフに出来てしまっています。お客様のお話しでは大きな枝に気ずかすガガ ガリガリ!!…と接触したとのことで、かなりひどい傷です。ガラス繊維が目視ではっきりわかる状態です。

この様子ではかなりの力が加わったと思われます。キャンピングカーの外装にFRPが使用されていると言う話は前項で起筆させていただきました。実際の天上パネルをイメージ図にするとこの様な感じになります。


まずは接合面をなだらかにしていきます。

ここから、壊れてしまった本体と新しいFRPを一体化していきます。

まるで車と会話するかのように、急がず時間をかけて作業していきます。パテと塗装で仕上げていきます。完成しました!出来栄えいかがでしょうか⁉

●まとめ
現在さまざまなタイプのキャンピングカーが存在しています。軽キャンパーと呼ばれる軽自動車をベースにしたキャンピングカーから、フルコン・セミフルコンと呼ばれる大型タイプまで本当にたくさんのキャンピングカーが現在皆様のバディとして稼働しています。使い勝手は車によってさまざまですが、キャンピングカーの増加と共に事故も増加しているのが現実です。
今回は、架装部分をぶつけて損傷させてしまうと言う事案でしたが、大きなトラブルになると、タイヤバースト、横転事故、ハブボルト折れに火災事故などどれも命に係わる重大事故が背中合わせにあるのもキャンピングカーです。
門真の整備士は、キャンパーの皆様に「キャンピングカーは乗用車よりもメンテナンスが必要」と思っていただけるとありがたいなと思っております。タイヤの空気圧、バックカメラ、各種オイルやラジエター液etc、そしてキャンピングカーの命!架装部分にひび割れなどの劣化は無いか。
キャンピングカーはオーナー様自身がメンテナンスのことを前向きにお考えになることがまずは安全への第一歩です。安心・安全、そして楽しくキャンピングライフを楽しまれるために、トラブルの元になるものは予め取り除いておかなければなりません。そうすることでキャンピングライフを最初から最後まで丸ごと楽しい時間にすることが可能になります。
もしお車のことで、何か気になることがございましたら、東伸自動車までお気軽にお問い合わせください。お車に関する一般的なお手入れや点検整備からキャンピングカー特有のメンテナンス・取付け・修理まで東伸自動車がお車を拝見して、お客様に最善の提案をさせていただきます。
大阪の門真市近郊、守口市・大東市・寝屋川市にお住まいのお客様、お車の整備・故障修理は東伸自動車にお任せください。

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