三菱ふそう《キャンター・FBA00》4P10 エンジン 故障 警告灯点灯 修理 オイル漏れ チェックランプが点灯する 大阪府門真市の整備工場が修理!

今回お客様からお預かりしたお車は「三菱ふそう キャンター」です。小型トラックですが長距離運転に適したエンジンバランスとドライバーが疲れにくいシート、バリエーションの豊富さや使いやすさ等から高い評価と人気を誇っています。積載量も多く低速域でも力強い走りは中型トラックに負けない存在感です。
キャンターは三菱ふそうの代表車種として1963年に初代が発売されました。以降インドネシアでは40年以上にわたりトップシェアを維持していますし、他にも世界70か国以上で販売される程高い評価を得ています。そんなキャンターが今回、オイル漏れ・白煙等の症状で入庫致しましたのでまとめたいと思います。
● お預かりしたお車
メーカー・ブランド | 三菱ふそう キャンター |
型式 | TPG-FBA00 |
エンジンの型式 | 4P10 (軽油) |
年式・初年度登録 | 2019年 |
走行距離 | 75363㎞ |
今回お預かりしたお車は2010年から発売されている、8代目FBA/FEA/B/C系になります。
● 故障の症状
①エンジンチェックランプ点灯、エンジンオイル漏れメインで入庫。
②入庫後確認の結果、他にも水漏れ、パワステオイル漏れ等多々不具合がありました。

● 故障個所の特定と診断
①エンジンオイル漏れ
オイル漏れが、いつ頃からどの程度、そしてどこから漏れているのかを診断するのは難しい作業になりますが、まずエンジンオイル漏れは大きく分けて2種類あります。
【エンジンオイル漏れ】 ・外部漏れ・・・主に燃焼室にオイルが落ちてしまう「オイル下がり」を指します。 ヘッドカバーガスケットのゴム部分の劣化によって起こります。 車体下にオイル溜まり等がある。ポタポタとオイルが漏れている。 ・内部漏れ・・・エンジン内部のシリンダーとピストンリングの摩耗や劣化によりエンジンオイルが燃焼室に 入り込む「オイル上がり」の状態。 目視出来ないので知らない内にエンジンの不具合が進む。 排気ガスが白い(白煙が出る)。 |
今回お預かりしたキャンターの下廻りからはオイル漏れが確認出来ます。マフラーパイプ周辺にはエンジンオイルが付着しているのも見て取れます。

「じゃぁ~外部漏れ⁉」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、各パーツを確認した結果、内部漏れと診断致しました。
エンジンオイル漏れの原因には、ピストンリングの摩耗、バルブシールの劣化、ガスケットの劣化、オイルパンの破損、ドレンボルトの摩耗などがありますので、一つ一つ確認していきます。 |
確認の結果、エンジン内で内部漏れが発生した結果、外部漏れを誘発させたと思われます。
どちらにしてもこのままでは、エンジンに深刻なダメージを与える事になりますし、もっと酷くなるとエンジンが焼き付けを起こして走行不能になります。
エンジンオイルが漏れると潤滑油としての機能が無くなり、各部品がスムーズに動けなくなります。また冷却効果が失われる為、最悪の場合エンジンが焼き付けを起こしてしまいます。漏れたエンジンオイルに引火した場合火災になる可能性もあります。想定内ではターボチャージャーの損傷(焼き付け)も脳裏をよぎりましたが、お客様とお話をさせて頂き、お客様自身がお車をよく見て不具合も出来るだけ対応しておられたのがとてもわかりましたので、状況から今回はターボチャージャーの交換は行わず、PCVフィルターの交換のみで進める事にしました。費用面の事も有りますし今回は様子を見て頂く事に致しました。 |
また外部漏れの状態を放置する、漏れたオイルで道路を汚すなどの行為は道路交通法違反になります。そして保安基準にも適合しませんので車検に合格する事が出来ません。
次に白煙を視認する為にマフラーパイプを取り外します。白煙の量はオイル下がりの症状と同等です。エンジンオイル漏れの原因はPCVフィルターの詰まりと推認されます。
PCVフィルターはPCVバルブのフィルターとして、クランクケース内のブローバイガス(未燃焼ガス)を吸気管に戻す際にオイルミストを除去する役割を担っています。吸気管内が汚れるのを防ぎ、排気ガスを綺麗に保つと共にエンジンオイルの劣化やエンジン内部の腐食を防いでくれます。
PCVフィルターは定期的に交換する必要が有りますが、交換が遅れるとブローバイガスの内圧が上昇し、オイル漏れに繋がります。
【PCVフィルターの交換が遅れると・・・】 ブローバイガス(クランクケースガス)の内圧が上昇してPCVフィルターが詰まり劣化する。それによりブローバイガスの流れが悪くなりエンジン内の圧力が上昇します。オイル漏れはオイルシールやパッキンからも起こります。 他にもターボチャージャーの機能に影響を及ぼしたり、エンジンやメインポンプの破損に繋がる事もあります。PCVフィルターはエンジンを正常に保つ為には重要な部品になります。 |

②その他水漏れ、パワステオイル漏れ等
リザーブタンクに接続されているホースからパワステフルードが漏れて滲みが出来ていました。パワステホースが劣化すると気密性が低下し、オイル漏れや飛散が見られる様になります。またパワステフルードの漏れはハンドル操舵不良の原因にもなりますので注意が必要です。
他にもプレッシャースイッチからもエンジンオイル漏れ(滲み)が確認出来ました。オイルプレッシャースイッチは、エンジンオイルの流れ(エンジンオイルの圧力の有無)を確認するセンサー部品になります。オイルプレッシャースイッチに不具合が起こるとエンジンの循環に必要な油圧がかからなくなります。この不具合もオイルランプ(油圧警告灯)の点灯の原因になります。
● 故障修理の内容と費用
①エンジンオイル漏れ
PCVフィルターカバーを外し、ドライブギアに付いているPCVフィルターを外していきます。ちょっと手が入りづらいところにありますが、工具を使って確実な作業を進めていきます。パッキンやシール、Oリングなども交換していきます。
交換後スナップリングをしっかり溝に入れ取り付けます。カバーを取り付けたら、PCVフィルターの交換は完了です。あとエンジンオイル、オイルエレメントも交換します。交換後エンジンコントロールユニット(ECU)のリセットを行います。エンジン警告灯等の点灯が消灯している事を確認し、エンジンが正常に動作している事を確認出来たら、PCVフィルターの交換は完了です。
②その他水漏れ、パワステオイル漏れ等
ポンプ類はエンジンの前面に集中していますので、パーツ類を取り除く必要が有ります。ラジエターやエアダクト等を取り外し、ポンプに繋がっているパイプも外していきます。
オイルプレッシャースイッチはコネクターを外してから取り外します。以前使用されていたシール剤を剥がし、汚れはクリーナーで落としていきます。エンジンを始動させてオイルの警告ランプが消灯しているのを確認出来たら、再度下廻りからプレッシャースイッチからの滲みが無いのを確認しました。
各パーツの交換が終われば、逆の手順で組み付けていき、最後にパワステオイルを注入します。エンジンをかけてしばらく様子を見ます。エンジンが十分に暖まった後、オイル漏れが無い事を確認しました。
最後にエンジンオイル漏れ止め剤を添加します。シールパッキンの柔軟性を回復させてくれるので、オイル漏れ止めに効果があります。
作業内容・部品等 | 工賃 | 部品代 |
---|---|---|
エンジンオイル交換 | 9,900円 | |
オイルエレメント交換 | 6,050円 | |
ドレンパッキン | 350円 | |
PCVフィルター交換 | 10,000円 | 7,500円 |
パワステホース交換 | 16,000円 | 2,850円 |
クランプ交換 | 390円 | |
クリップ交換 | 360円 | |
リザーブタンク交換 | 19,300円 | |
パワステオイル補充 | 2,500円 | |
ブレーキオイルプレッシャースイッチ交換 | 24,000円 | 26,800円 |
ブレーキオイル交換 | 4,000円 | |
ジョイントホース交換 | 9,800円 | |
その他ガスケット類 | 12,500円 | |
エンジンオイル漏れ止め剤 | 11,000円 | |
クーラーガス漏れ止め剤 | 12,000円 | 8,000円 |
故障診断及びエラー消去 | ||
合計 | 62,000円 | 121,300円 |
消費税 | 6,200円 | 12,130円 |
総計 | 201,630円 |
●まとめ
2004(平成16)年に新短期排出ガス規制が施工されて、ブローバイガスはエンジン内部に還元する事が義務付けされました。その対応としてフィルター内臓のPCVバルブを装着する様になっています。
PCVバルブ(&フィルター)はブローバイガスに含まれる油分(オイルミスト)を分離して、クランクケース内部の圧力を適正に保持する重要な役割を担っています。その為定期的な交換が必要ですが、交換しないままお車を使用しているとエンジンに影響が出ます。最悪は破損や車両火災のリスクにも繋がりかねませんので、エンジンオイル漏れはリスクしかありません。
PCVフィルターは、油分(オイルミスト)に含まれるカーボン等の不純物をキャッチしてくれています。その為目詰まりを起こすと、バイパスバルブが開いたままになってしまい、ブローバイガスがフィルターを素通りしてしまいます。それによりターボチャージャーなど様々な所からオイル漏れが発生し、車の性能が低下します。エンジンオイルが漏れた状態はかなり危険でありデメリットの塊の様なものです。 |
特にストップ&ゴーまたは山道・登降坂路が多い環境下で使用しているお客様や、長時間のアイドル運転を行っている、走行距離や稼働時間が多い等の条件下でお車を利用されているお客様は、通常よりも早めの交換が必要です。エンジンオイルやPCVフィルターの警告灯の点灯に気づいたら出来るだけ早く対応される事をお勧め致します。また定期的にフィルタ―やエンジンオイルのチェックを受けましょう。
もし現在お車に不具合がある、同じ症状を繰り返すなどございましたらお気軽に東伸自動車までお問い合わせ下さい。
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