【修理】BMW 8シリーズ E31《 E-E50(850i)》うなり音がひどい・ハンドルが重い パワステ パワーステアリング |大阪府 門真市 整備

今回お客様からお預かりしたお車は「BMW 8シリーズ」になります。初代8シリーズ(E31)は1990年から1999年まで生産されました。その中でもE-E50はV12エンジン搭載の高級クーペになります。優れた技術はスタイル・パフォーマンス・ラグジュアリー全てを併せ持ち、BMWのフラッグシップモデルと言われるに値する素晴らしいお車です。パワフルでありながら落ち着いたデザイン、内装にはもちろん高級素材が使用され上質な空間が約束されています。
ドリームカーとして、現在でもカークラシックファンから高い評価を得ており、特別な車として今なお多くの人々の心をつかんでいます。そんなBMW8シリーズがうなり音で入庫致しましたのでまとめたいと思います。
● お預かりしたお車
| メーカー・ブランド | BMW 8シリーズ(E31) |
| 型式 | E-E50(850i) |
| 年式・初年度登録 | 1993年 |
| 走行距離 | 98949㎞ |
| 排気量 | 4988cc |
● 故障の症状
うなり音が酷い
● 故障個所の特定と診断
お客様から「うなり音が酷い」とのご連絡がありましたので、ご入庫いただきお車を拝見しました。原因を推定する為に実際にお車を作動させます。お客様からお伺いしたお話と併せて確認・点検した結果、ベルトにヒビが入っている事が判明致しました。
ベルト類は車が走る上でとても重要な部品になります。特にパワーステアリング用のベルトが切れてしまった場合は、急にハンドルが重くなり最悪の場合はカーブを曲がり切れない事態に陥る事も有ります。他にもファンベルトに不具合が生じた場合はオーバーヒートに繋がる恐れがあります。
今回はベルトが切れたわけではなかったので最悪の事態には至っていませんが、劣化した状態=交換時期という事ですので、ベルト類の交換させていただく事になりました。ただ門真の整備士としては、うなり音の原因がベルトのみとは思えず、更に診断を進めました。
診断を進めた結果オイル漏れがある事が判明しました。パワステオイル(フルード)が漏れ、同時にタンク内に気泡が発生すると言う現象が確認出来ました。
パワステオイルが漏れて減る
↓
エア混入
↓
ポンプが空気を吸い込む
ポンプ鳴き
↓
うなり音が発生する・ハンドルが重くなる
パワステオイルが漏れはじめの段階(初期)の場合は、気付かない場合が殆どです。但し、パワステオイルがエアを巻き込みだすと異音が出る様になります(ポンプ鳴き)。同時にハンドルを重く感じる様にもなります。
BMWで時々見受けられるのが、ホース(=ゴム)の劣化による漏れです。元々パワステホースは高い圧力がかかるところです。高い圧力に耐えられる様に頑丈に(分厚く)作られていますが、それでも経年劣化で弾力が無くなります(硬化します)。ホースからというよりカシメ部分等からオイルが漏れ出ると言う症状です。カシメ部以外にもリザーバータンクのキャップ等でも同様の症状が発症する事があります。滲みを発見した際に応急処置として増し締めする事でその場を凌ぐ事は出来ますが、根本的な解決にはなりません。漏れを放置すると油圧が下がりますので、最悪はパワステポンプが焼き付けを起こしてしまいます。
パワステも現在では油圧式と電動式があります。それぞれ違いがあるのですが、オイル漏れは油圧式特有の整備内容になります。電動式の場合油圧系統が無い為オイル漏れがありません。但しオイル漏れがある=油圧式はNGと言う事ではありません。
電動式の場合、オイル漏れはないかも知れませんが、故障の時は制御ユニットやモーターの不具合が考えられますので、油圧式よりも修理費用は高額になる傾向にあります。燃費効率に関しては電動式に軍配が上がりますが、フィーリングやハンドリングと言う点ではやはり油圧式の方が、特にスポーツカーの場合は路面感覚が伝わりやすく好まれる傾向にあります。
今回の症状は重症ではありませんでしたが、問題はこのお車のパーツが絶版になっていて純正品(新品)は入手が困難という点でした。パワステポンプや油圧ホースを一式交換する必要がありましたので今回はリビルト品で対応し、症状が改善するか確認したいと思います。
● 故障修理の内容と費用
まずは、ベルト類の交換を行います。テンショナーを緩めるとベルトが外れますので、クーラーベルト(エアコンベルト)・パワステベルト・ファンベルトを外していきます。取付けは取り外しの逆順になります。取り回しの確認が出来たら、エアークリーナーボックスを戻して終了です。
次にパワステベルト・ポンプ・油圧ホースの交換です。パワステオイルを抜き、パワステベルト・パワステポンプを取り外します。油圧ホースのラインを全て交換します。新しいポンプをエンジンに固定したら、高圧・リターンホースを規定トルクで締め付けます。新品ベルトをかけたらテンショナーで張り調整を行います。
リザーバータンクにパワステオイルを注入したら、必ずエア抜きをします。エンジンをかける前にハンドルを左右にゆっくり切って、フルードを油路に回します。エンジンをかけた後、もう一度ハンドルを左右にフルロックまで切ってエア抜きします。タンク内の泡立ちが無くなった事を確認し、最後にパワステオイルの液量を再確認(補填)したら修理は完了です。
| 作業内容・部品等 | 工賃 | 部品代 |
|---|---|---|
| ファンベルト交換 | 8,000円 | 6,260円 |
| クーラーベルト(エアコンベルト)交換 | 6,900円 | |
| パワステベルト交換 | 9,280円 | |
| クーラーベルトテンショナー交換 | 16,000円 | 29,800円 |
| パワステベルトテンショナー交換 | 16,000円 | 29,800円 |
| パワステポンプ交換(リビルト品) | 48,000円 | 189,000円 |
| 油圧ホース交換 | 36,000円 | 58,680円 |
| 油圧ホース交換 | 58,680円 | |
| 油圧ホース交換 | 24,800円 | |
| 油圧ホース交換 | 22,440円 | |
| 油圧ホース交換 | 17,760円 | |
| 油圧ホース交換 | 28,400円 | |
| パワステオイル | 14,400円 | |
| 合計 | 124,000円 | 496,200円 |
| 消費税 | 12,400円 | 49,620円 |
| 総計 | 682,220円 | |

● 修理後の様子
修理後はうなり音も無くなりました。
据え切り時ハンドルが重かったのですが改善しました。
●まとめ
パワステは車の快適な走行には欠かす事が出来ません。油圧式・電動式に関わらずおかしいと感じた時は、まずは路肩など安全な場所に車を停車させてください。ハザードランプを点けて後方の車に異常を知らせます。三角停止板を積んでいる人は車の約50メートル後方に設置して下さい。
運転中にハンドル操作に違和感を覚えると、不安になってしまうと思いますがまずは深呼吸です(^^)気持ちが落ち着いたら、ハンドルが重いと感じた原因がパワステ以外にも考えられないか思索してみて下さい。意外と「いつもより少し疲れていたから重く感じた」と言う事も有ります。ちょっとした勘違いならいいのですが、時にはタイヤの空気圧が少なくなっている事に気づかず運転していた、またはハンドル(ステアリング)に異常があったと言う実例もございます。
やはりおかしいなと感じた時は決して無理をせず、加入している保険会社に電話してロードサービスを受けるか、ディーラーや整備工場に連絡しましょう。その際にフロントパネル(インパネ)にいずれかの警告灯が点灯していないかチェックしましょう。
パワステは運転(ハンドル操作)を補助してくれる言わばアシスト機構です。パワステのおかげで、特に「曲がる」と言う操作が楽になりました(軽減されました)。パワステは今では安全のための技術として欠かす事の出来ない機能になります。「これくらい大丈夫だろう」とちょっとした不具合をスルーした事で、もっと深刻な被害=二次被害を引き起こしてしまう危険性もはらんでいます。
お車に違和感がある。また、〇〇で困っている等ございましたらお気軽に東伸自動車迄お問い合わせ下さい。お車を拝見させていただき、お車の状態(故障内容や必要な修理内容等)についてご説明を申し上げ、お見積り等で金額を提示させて頂きます。
お客様がご納得されてからお修理させて頂く事を前提としておりますので、お車の故障・修理に関するご相談・ご依頼は安心して東伸自動車にご一報下さい。
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