トヨタ《ハイエース》KGH・TRH・GDHのオーバーヒートを修理!門真の整備士が見つけ難い冷却水漏れを完璧に修理!!

 今回お客様からお預かりしたお車はトヨタのハイエース スーパーGLになります。安全性、耐久性、走行性能、積載量、燃費どれをとっても最高の車であり、日本を代表する車種と言って過言ではありません。

 その中でもスーパーGLは上位グレードのワンボックス商用車になります。まさにキングオブバンの名に相応しい揺るぎない風格を持ったお車です。スーパーGLは商用車と言っても乗用使用としても大変ニーズが高く、レジャーや趣味などに愛用されているユーザーも少なくありません。そんなハイエースがオーバーヒートで入庫いたしましたので、まとめたいと思います。

メーカー・ブランドトヨタ ハイエースバン 200系
スーパーGL
型式CBF-TRH200V
エンジン2000ガソリンエンジン
型式:1TR-FE
種類:水冷直列4気筒
年式・初年度登録2009年

 TRエンジンは、ハイエース(TRH200系)の他に、4代目ハイラックスサーフ、3・4代目ランドクルーザープラド、3代目ハイメディック等に搭載されています。他にもデュトロやダイナ、トヨエースと言った働く車にも採用されています。それだけタフで堅牢なエンジンだという事が伺えます。

オーバーヒート

原因:冷却水(LLC)漏れ。エンジン停止時にも漏れ有り。

 LLC(=ロングライフクーラント)とはエンジンを冷却する為の液体で、冬でも凍結せず、液そのものにはエンジン内部の防錆や防腐の効果もあります。エンジンの熱を一定に保つために、エンジンで発生した熱をLLCが吸収します。ウォーターポンプによって運ばれたLLCは、ラジエターで放熱します(走行風によって冷やされます)。

 再びエンジンに戻ってエンジンを冷却するという循環を繰り返し、エンジンを守っているのが冷却水(LLC)になります。その為、システムの一部が損なわれた場合冷却水(LLC)が漏れてしまい、循環するべき冷却水が循環されない状態になってしまいます。こうなるとオーバーヒートは時間の問題です。

 また冷却水(LLC)を適温に保つためにサーモスタッドとラジエーターファンがあり、サーモスタッドが冷却水の循環を調整してくれています。サーモスタッドが故障するとシステムが冷却水を送るタイミングをシステムが理解できずオーバーヒートやオーバークールの状態を引き起こします。

 一つ一つのパーツが組み合わさって(クーラント)システムは成立していますので、どこか一箇所でも機能を損なえば、車は本来の機能や能力を発揮することが出来ません。

 サーモスタッドのハウジングから繋がっているパイプをウォーターバイパスパイプ(ホース)と言いますが、ここ(フランジと配管のジョイント部)から冷却水(LLC)が漏れたことによるオーバーヒートと判断いたしました。

 この時期のハイエースは、ウォーターバイパスパイプが樹脂製のため、熱による影響にプラスして経年劣化もあり、冷却水が漏れ出たと思われます。エンジンは大変丈夫ですが、この部分に関しては弱点と言えるかも知れません。

 写真でおわかり頂けるかと思いますが、ピンク色に見える部分が冷却水の漏れた跡になります。ウォーターバイパスパイプは現在ステンレス製に変更になっていますし、今回交換するのもステンレス製になります。ウォーターバイパスパイプを交換する際はガスケット類も一緒に交換します。

 ちなみに、冷却水はメーカーによって違いますが、漏れていることをわかりやすくするために着色されています。トヨタはピンク色を使用しています。

プロピレングリコールが主成分 スーパーLLCと呼ばれる 耐用年数は7~10年日産、三菱、ホンダ、スバル、ベンツ、BMW、スズキ
ピンクトヨタ、ダイハツ、アウディ、フォルクスワーゲン
エチレングリコールが主成分 LLC(ロング・ライフ・クーラント)と呼ばれる 耐用年数は2~3年マツダ、ホンダ、三菱
ベンツ
※車種によって色が違う場合がありますので参考程度にご覧ください

 まずはインテークのエアダクトやスロットルボディ、インマニ等を外していきます。インマニ(インテークマニホールド)を取り外すとウォーターバイパスパイプが見えます。下のお写真でも何となくおわかり頂けるかと思いますが、黒いパイプ(赤丸部分)がウォーターバイパスパイプです。これを取り外してステンレス製のパイプに交換します。交換時にはハウジングの取付け面を掃除すると共に、ガスケット類も交換いたします。ガスケットには気密性や密液性を保つ役割がありますので、再利用はお勧めできません。

 またパーツを新しく交換する際は他の古いパーツから同じ様な漏れが起こらないように留意することも大切です。

 次にサーモスタッドも同時に交換します。サーモスタッドは壊れやすい部品の一つですし、サーモスタッド単体で交換が必要になった場合、ベルトやブーリーの脱着が必要になります。そうなるとまた修理費用が嵩みますので、ウォーターバイパスパイプを交換したこの機会に一緒に交換いたします。

 脱着部品の取付けが終ったら、クーラント(LLC)の充填・エア抜き作業を行います。エア抜きを忘れてエンジンを暖機させるとオーバーヒートしますので注意です!また今回はLLCの補充の際に漏れ止め剤を一緒に添加しました。

 漏れ止め剤を添加することで、冷却水(LLC)の粘度を増加させたり、クーラントとシステム(部品)に入った亀裂や破損を埋めてくれます。漏れている箇所を ”詰まらせて漏れを止める” というのがこのヘッドガスケットFIXになります。

 最後に漏れが無いか確認して作業は終了です。漏れが無いこと、オーバーヒートの症状が出ていないことを確認したら修理完了です。

作業内容・部品等工賃部品代
サーモスタッド交換17,000円1,230円
LLC交換6,000円5,400円
バイパスホース交換38,000円6,430円
ガスケット類3,220円
ヘッドガスケットFIX8,000円
合計61,000円24,280円
消費税6,100円2,428円
総計93,808円
2025年4月現在

 お客様にご来店いただき、エンジンの始動チェック・アイドリングチェック・走行テストを行い、症状が改善したことをご確認いただきました。

 水温計が「H」付近を指している、いつもよりスピードが上がらず、アクセルを踏むと異音がする、エンジンの回転数が安定しないなど、オーバーヒートは初期でもそれなりの症状が現れます。冷却水(LLC)が漏れているとエンジンが十分に冷やされませんので、走行を続けることはすぐに難しくなります。酷い場合はエンジンルームから白煙が立ち上がり、エンジンが焼き付けを起こすなどのダメージを受け、使用できない状態になります。こうなると修理費用は天井知らずになってしまいます。

 少し車に慣れた方なら、クーラントに水道水を入れてだましだまし整備工場まで自走される方もいらっしゃいますが、オーバーヒートの兆候に気づいたら無理をせずに、出来るだけ早くお車を安全な場所に停車させてください。水温計が「H」を振り切っていなければアイドリングのまま水温が下がるか様子を見ていただき、状況を把握すると共に次の対処法を模索してください。普段付き合いのある整備工場が近くであれば自走することも可能かも知れませんが、無理は禁物です。

 また水温計が「H」を振り切っている、アイドリング状態で水温が下がらない等の場合は、ロードサービスを利用されることをお勧めいたします。ボンネットを開けて風通しを良くすることは必要な対応ではありますが、高温でボンネットを開けると危険が伴うことも有りますので、無理は禁物です。

 単純に冷却水不足が原因であれば補充で事済みますが、その状況に気づかずお車を走行させた場合、部品がダメージを受ける等状況が悪化することも十分にあり得ます。LLCの凍結防止や防錆効果は、2年はもつと言われていますが、車を走行させれば劣化しますし、自然蒸発もいたします。ご自身で予防点検される事でトラブルを回避することが出来ますので、一度エンジンルーム内のリザーバータンクをご覧になってみてください。

 冷却水が(LLC)劣化していても車検には通りますが、冷却水(LLC)が漏れている場合は車検には通りません。もしお車のことで心配や気になる点がございましたら、クーラントに限らず、何なりと東伸自動車にご用命くださいませ。

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